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学長のことば
平成23年度入学式式辞(平成23年4月)

 本日、式辞を述べる前に、東日本大地震により甚大な被害を被った方々ならびに関係者に対してお見舞い申し上げるとともに早急の復旧・復興を心より祈念致します。

 さて、本日、大学院713名、学部1,030名、合計1,743名の入学を許可しました。女子学生は199名、留学生は77名、社会人は39名です。

 名古屋工業大学を代表して歓迎の辞を申し上げます。

 本学は、明治38年中部地域初の高等工業教育機関となる官立名古屋高等工業学校として創設され、今日に至るまで7万人を超える優れた人材を輩出し、我が国の産業社会の礎を築きその繁栄を支えてきました。充実した実践教育により育てられた人材の質は、ほぼ100%の就職率と産業界等での高い幹部職登用率に繋がっています。現在、学生数は国立大学工学部の中で屈指の規模を擁し、基盤的ならびに先進的工学分野をほぼ網羅しています。

 皆さんはこれから志望した教育研究分野で研鑚を積むことになりますが、豊かで安全・安心な社会の実現に向けて、産業の革新や創成に貢献する実践能力を有するリーダーになるための素養を培って頂きたいと願います。

 いま人類社会は大きな変革の最中にあり、大学においても時代に相応しい革新が問われています。これからの科学・技術やものづくりがどう変わってゆくのかを予測することは容易ではありませんが、工学は科学と技術を繋ぎ「ものづくり」「社会づくり」に結び付ける学問であり、その重要性は増しています。本学もあらゆる分野において、地球規模での課題を解決し、未来を切り開く科学・技術の革新の一翼を担うべく努力しています。これから国際化は避けられるものでは無く、そのために学生の海外派遣や留学生受け入れなど、国際交流を強化し、世界的な教育研究拠点の構築と国際的視野を持った学生を輩出することを目指しています。甚大な被害をもたらした東日本大震災からの復興も単に日本一国の問題にとどまらず世界が注視しています。復旧活動だけでなく、新しい街づくり、ものづくりや社会づくりが世界の規範となるように大学も含めて国民一丸となった知恵と力の結集が必要です。学生の間のボランティア活動も大事ですが、復興作業が長期に及ぶことは必至であり、社会人となった時に、しっかりとした工学倫理観を持った高度専門職業人として十分に貢献できる力を蓄えて下さい。

 大学での勉学に当たっての心構えを3つほど述べます。

 1つは忍耐力です。およそ研鑽には苦楽が伴います。勉学においても然りです。しかし、苦難を乗り越えて、何らかの事を成し遂げた時にはその喜びは格別です。初めて書く卒業論文などはその典型になるでしょう。成し遂げるためには諦めてはならず、少しでも灯りが見えれば真理を追求し続ける忍耐力と持続力が問われます。

 2つ目は向上心です。漱石の小説「こころ」に「精神的に向上心のないものは、馬鹿だ」との下りがあります。小説の文脈での解釈は別として、御承知のように一級のアスリートは弛まざる鍛練を続けています。研究者でも技術者でも学生でも同じことが問われます。壁はぶつかって初めて分かり、そこで乗り越える知恵と工夫もでてきます。壁あるいは限界を自ら設ける必要はなく、常に上を目指して下さい。

 3つ目は自ら学ぶ姿勢です。本学では、「与えられる」教育から「自ら育つ」教育へのシフトを掲げていますが、これが最も難しいことです。そもそも「自ら育つとは何か」を考えることでもあります。大学としても教育課程に様々な工夫を凝らしていますが、各人各様の答えを探すためには、本を沢山読むこと、旅に出ること、ボランティア活動への参加なども助けになるでしょう。

 ここで、2つお願いしたいことがあります。

 1つは友達をつくることです。今更、大学生に対して何をと思うかもしれませんが、驚くことに入学して半年過ぎても新しい友達がいない、あるいはできない学生が少なからずいるというデータがあります。同世代、特に大学時代の友人は在学中だけでなく終生に亘って職業、恋愛、趣味などについて共に語ることが続くでしょう。決して、孤立しないで下さい。

 2つ目として、職業に対する目標をじっくりと考えて下さい。我が国は、国としてキャッチアップからフロントランナーの役割を求められているフェーズにあります。これに応えてゆくためには、皆さんの力が必要です。自分の武器、簡単に言えば誰にも負けない特長を見つけ、それを活かす道に進んで下さい。

 本学は「ひとづくり」、「ものづくり」、「未来づくり」を掲げ、魅力的で個性の光る自立性に富む大学となるべく歩み続けます。皆さんにとって、「名工大生であること、あったことを誇れる」教育研究の実施とその環境づくりを推進しています。本学が誇るものは幾つかありますが、キャンパスの情報化は全国の最先端を走っています。ホットな話題として、音声認識機能を持つ3Dキャラクターが双方向でキャンパス音声案内をするシステムが本日世界で初めてオープンします。キャンパス正門前に設置していますので、折を見て話しかけて下さい。

 最後になりますが、大学は人間が産み出した最良の制度の1つです。皆さんには、この制度の意義を噛みしめ、悔いの無い充実したキャンパスライフを送って下さい。
以上をもちまして、本日の式辞とさせて頂きます。

 

                                       平成23年4月6日
                                       名古屋工業大学 学長 高橋 実


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