国立大学法人名古屋工業大学

文字サイズ
検索

News&Topics一覧

ホーム > News&Topics一覧 > プレスリリース:光でセシウムイオンを細胞から汲み出すタンパク質の創成に成功!光を使って放射性セシウムを回収する原理の開発

光でセシウムイオンを細胞から汲み出すタンパク質の創成に成功!光を使って放射性セシウムを回収する原理の開発

カテゴリ:プレスリリース|2015年12月15日掲載


 大学院未来材料創成工学専攻ナノ・ライフ変換科学分野およびオプトバイオテクノロジー研究センターの神取秀樹教授・センター長、今野雅恵研究員らのグループは、光のエネルギーを使ってセシウムイオン(Cs+)を細胞から汲み出すタンパク質を世界で初めて創成することに成功しました。本研究は、東京大学大学院理学研究科・濡木 理教授のグループとの共同研究の成果であり、米国化学誌 The Journal of Physical Chemistry Letters の電子版に 12 月 14 日に掲載されました。
 光のエネルギーを使って荷電粒子を自由に運ぶことができれば、さまざまな応用が可能になります。実際に、電子(e-)の輸送は植物の光合成や太陽電池などで実現していますが、水素イオン(H+)より重い荷電粒子を決まった方向に光で輸送する材料は、自然界にも人工的にもほとんどありません。数少ない例外として、微生物が持つロドプシンと呼ばれる膜タンパク質があります。光で水素イオンを汲み出すタンパク質は、脳機能解明のための革新的技術である「光遺伝学」のツールとしても脚光を浴びています。
 長い間、ナトリウムイオンを汲み出すタンパク質は存在しないと信じられていましたが、神取教授らのグループは 2 年前、このタンパク質が海洋性バクテリアに存在することを明らかにしました。今年の 5 月には、アミノ酸変異を用いて天然に存在しないカリウムイオンを汲み出すタンパク質の創成を報告しています。そして今回、さらに大きなイオンであるセシウムイオンを汲み出すタンパク質の創成に成功しました。
 福島原発の事故以来、水中に含まれる放射性セシウムイオンが大きな環境問題となっています。これまでにさまざまな回収方法が試されていますが、それらはすべてセシウムイオンの吸着を考えたものです。今回、光のエネルギーを利用してセシウムイオンを動かすシステムの実現により、全く発想の異なった放射性セシウムの回収法につながる可能性があります。
プレスリリース(Cs pump)v.pdf
解説.pdf
原著論文




ページトップへ