設立趣旨

事業の目的(Objective)

 わが国における少子化の影響を受けて高等教育機関への進学相当年齢人口は減少し、いわゆる大学全入時代が到来したことで大学存続の危機が叫ばれています。これに加えて初等中等教育段階での理科離れが進み、高等教育における理工系分野での学生の確保と質の維持は一段と難しくなっています。さらに、わが国の財政支出状況の厳しさを受けて、政財界を中心に、国公私立を問わず高等教育に対する運営交付金、補助金の削減が主張され、大学の淘汰を前提とした競争原理が導入されるに至っています。

 一方、愛知県は製造品出荷額が44兆円と全国の14%を占め、30年間にわたり日本一を誇っています。また、企業の有効求人倍率は常に全国平均を上回り、近年は連続して全国第一位を保持しています。このように、「ものづくり」の世界的拠点としての地位を確保するため、中部圏の企業は研究開発機能を自地域に集中されていることから、技能労働者のみならず研究開発者に対する人的需要が大きいという地域的特性があります。しかしながら、中部圏の産業はいくつかの側面で転回点を迎えており、企業活動の地方分散化によって東北や九州など従来企業集積のなかった地域への 進出も顕著です。さらに、地場産業の世界的な進出・多国籍化に伴い、産業構造の空洞化も一部で見受けられます。

 このような状況下において、中部圏の工科系分野での高等教育を担う工科系大学・高専は、従来のような国公私立の棲み分けや単純な学校間の競争では対応が出来なくなっているのが現状です。そこで、教育研究における総合的な連携体制を形成することで、より一層の運営の効率化、産業基盤技術を担う人材養成、教育研究アクティビティの国際的レベル化などをはかる必要があります。

 このような背景の下で、本プロジェクトでは、各校の工科系教育研究における特色を生かして連携することで、中部圏での「ものづくり」における教育研究拠点を形成して、教育研究水準のさらなる高度化、運営基盤の強化を図るとともに、国際交流の推進ならびに地域社会に貢献していきます。

取組内容

 本連携では、連携各校の有する建学の精神を尊重しながらそれぞれの歴史の中で培われた工科系教育研究の特色を生かし、中部圏での「ものづくり」教育研究における拠点を形成することで、教育研究水準の向上、国際交流の推進ならびに社会貢献に寄与する。具体的な連携項目は、以下の通りである。

  • 小中高校生を対象とした組織的体系的な理工系啓発活動の推進。
  • 各校の有する個性・特色を活かした連携授業科目の開拓。
  • 留学生教育・ケア体制の組織化、体系化による中部圏における国際交流の拠点形成。
  • 各校の特色ある研究分野の積極的な活用による社会人教育プログラムの共同開発及び実施。(社会人の学び直しの機会、産業界での高度専門教育に対するニーズへの対応)
  • 教育研究設備の共同利用推進による教育研究レベルの一層の向上。
  • 産学官共同研究の一層の推進とその成果の社会への還元システムの開発。

文部科学省 戦略的大学連携支援事業