情報工学専攻博士課程6名が電子情報通信学会東海支部学生研究奨励賞を受賞しました
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2014年6月11日掲載
大学院情報工学専攻博士課程6名が2014年6月5日にキャッスルプラザで開催された平成25年度電子情報通信学会東海支部総合報告会において、電子情報通信学会東海支部学生研究奨励賞を受賞しました。
(6名の内1名は平成26年3月卒業)
本賞は、電子情報通信学会東海支部に所属する学生で,電子工学および情報通信に関する学問・技術分野において優秀な成績をあげ、研究成果を論文誌、または国際会議、電子情報通信学会の総合大会・ソサイエティ大会・研究会、および電気関係学会東海支部連合大会のいずれかにおいて発表し、その将来が嘱望される学生に贈呈される賞です。
伊藤孝弘君(情報工学専攻博士前期課程修了 王建青研究室)
発表名:「パーティクルフィルタによるカプセル内視鏡位置トラッキング」
内容:高齢化社会の到来に伴って医療従事者の不足が問題となり、問題解決に向けた医療・ヘルスケア通信が注目を集めています。伊藤君は、消化管の検査に使われるカプセル内視鏡について、電波を使ってその位置を取得する手法の研究を行っています。位置情報を取得することで、腫瘍などの病状を発見したときに部位の特定が可能となります。しかし、人体内部での電波による位置同定は、人体組織の電気定数によって電波の伝送速度が様々になるため、従来の自由空間における位置情報取得技術はそのまま用いることができません。これに対し、伊藤君は、インプラント通信環境の受信電力モデルを新たに開発し、それをベースに、パーティクルフィルタによるトラッキング技術を応用することで、従来の手法より高精度な体内における位置トラッキングを実現し、その成果は学会から高く評価されました。
伊藤孝弘君コメント:
この度は、学生研究奨励賞をいただき、大変光栄に存じます。まだまだ未熟ではありますが、今後も研究活動に励み、医療・ヘルスケア通信分野の発展に貢献したいと考えております。
稲葉悠馬君(情報工学専攻博士前期課程 岡本英二研究室)
発表名:「カオスを用いた電波暗号化複数アンテナ伝送方式の研究」
内容:スマホをはじめとする無線通信機器は私たちの生活にとって切り離せないものになっており、そのため無線通信の安全性の確保がますます重要になっております。現在、無線の暗号化は公開鍵暗号やパスワードなど、通信プロトコルの上位層と呼ばれるアプリケーションで実現されておりますが、これを下位の物理層と呼ばれる電波の部分から暗号化するとより安全な通信が実現されるため、近年物理層の暗号化が注目されております。しかし既存の物理層暗号化方式は通信品質の向上には用いることができませんでした。これに対し稲葉さんは、複数アンテナ伝送方式というものを適用することで、電波の暗号化と通信品質向上が両立する手法を初めて提案しました。その成果は複数の学術論文や国内外会議で発表され高く評価されています。
稲葉君コメント:
私は世の中で広く使用されるような技術の創出を目標に研究活動を行っています。電波の暗号化と通信品質の向上を両立させた提案手法は国内外で高い評価を頂きましたが、実用化にはいくつか課題が残されています。今後はそれらの課題を解決し、実用化に向けて研究を継続していきます。
佐久間拓人君(情報工学専攻博士前期課程 加藤昇平研究室)
発表名:「インタラクションにおけるユーザ評価傾向の動的獲得」
内容:ユーザとロボットの間で行われるインタラクションにおいて、ロボットがユーザの好みを自動的に学習する手法を提案しました。ユーザにとってよりよいインタラクションを創発することで、ユーザのロボットに対する印象を向上させることが期待できます。これらの効果を、実際に人を使った実験によって確認・検証しました。その成果は複数の学術論文や国内外会議で発表され高く評価されています。
佐久間君コメント:
私は「人と友達になれるロボットの開発」を目標とし研究しております。現在取り組んでいる研究内容はその目標のごく一部であり、まだまだ課題が残されております。今回の受賞を励みにより一層、研究活動に取り組む所存です。
片山真也君(情報工学専攻博士前期課程 新谷虎松研究室)
発表名:「リアルタイム協調型編集のためのWeb同期機構の高性能化とその応用に関する研究」
内容:近年、Google Drive等の、Web上で複数のユーザが文書を編集できるWebアプリケーションが利用されています。このようなWebアプリケーションでは、文書の編集操作をリアルタイムに全ユーザに同期することが必要となります。また、文章編集だけでなく手書きなどの複雑な描画をリアルタイムに同期するためには、新たなWeb同期機構の実現が必要になります。本研究では、HTML5のCanvasを利用した新しいリアルタイムWeb同期機構の実現に向けて、Canvas内のデータを最適化し、協調型編集のためのWeb同期を高速化するアルゴリズムを実現しました。本研究では、本アルゴリズムを具体的なWebアプリケーションとして実装し、評価実験によりその有効性を示しました。また、本研究成果は、学術雑誌や国内外の会議において発表され、高い評価を受けています。
片山君コメント:
この度、電子情報通信学会透過支部学生奨励賞の受賞にあたって、日頃ご指導ご鞭撻してくださる
新谷先生、大囿先生、白松先生に深く感謝致します。
実現したアルゴリズムは、Web上における複雑な描画の同期に大きく貢献できると考えています。
今後は、残された実用上の課題を解決するために研究を継続していく所存です。
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