国立大学法人名古屋工業大学

文字サイズ
検索

大学紹介

ホーム > 大学紹介 > 学長ごあいさつ > 学長のことば:平成27年度入学式式辞(平成27年4月)

学長のことば 平成27年度入学式式辞(平成27年4月)

IMG_1166.JPG皆さん、名古屋工業大学にご入学おめでとうございます。ご臨席のご来賓ならびに列席の理事・副学長、部局長をはじめとする教職員一同とともに、皆さんのご入学をお祝いしたいと思います。日々勉強に勤しんできた努力が、今日、実を結び、晴れて入学されたことに敬意を表します。また、これまで皆さんを力強く支えてこられたご家族、関係の皆様に心よりお祝いを申し上げます。

わたくしも40年以上前は、初々しい名工大生でした。皆さんの先輩として、名古屋工業大学の歴史と建学の精神について、まずは、お話ししたいと思います。 

名古屋工業大学は、明治38年に創設された全国で4番目の官立名古屋高等工業学校および昭和18年創設の愛知県立高等工業学校を源流として、昭和24年に二つの学校が合併し、新制の国立大学として発足致しました。第二次世界大戦の空襲で殆どの建物が焼失してしまいましたが、このとき、教職員、学生、卒業生が一体となって復興運動が起こり、「この御器所が丘の地で名工高の歴史と伝統を守る」その決意の下で、本学を存続させるために目覚ましい活躍をされた、そんな逸話が残っております。私たちの先輩が、如何に、名工大へ情熱をもっていたか、新入生の皆さんにも是非知っておいて頂きたいと思います。以後、名工大は、我が国の国力の発展と科学技術の進歩に伴い、教職員数約520名、学生数約5700名の国立大学工学部の中でも屈指の規模を誇る工学系単科大学として発展し、今日に至っています。

次に、創立110年という歴史ある名工大の根底を流れる建学の精神についてお話しします。名工大創立にあたって、初代学長である清水勤二先生は、教育と研究を両輪とする工業大学として、産業界の活きた問題を掘り起こし、それを活きた研究とすることで学術の根を深くおろすとともに、新たな製品を生み出す研究成果を創出していく。さらに、研究を教育に活かすことで優れた工学人材を養成することが、名古屋工業大学の使命であると、建学の精神を述べておられます。この実学を重視した名工大の学風が、今日まで7万人を超える優れた人材を世に送り出し、数多くの卓越した研究成果を築いてきました。カンバン方式、ジャストインタイム方式で有名なトヨタ生産方式を生み出し、メードインジャパンの世界的な生産方式として確立した大野耐一さん、鈴村喜久雄さんなど、皆さんの先輩方の足跡は世界中至る所で見つけることができます。また、産学官連携共同研究の実績としては、教員一人当たりの企業との共同研究件数および共同研究費は全国の国立大学で常に最上位にランクされています。

名工大は、この中京地域を中心とした産業界とともに育ってきました。この地域は、わが国ひいては世界のものづくり産業の卓越した集積拠点です。この地域の活性化が、わが国の産業の成長の鍵を握っているといっても過言ではありません。名工大が、わが国および世界の発展に極めて大きな役割を担っている、そのことを理解していただきたいと思います。

さて、皆さんもご存じのように、昨年ノーベル物理学賞を受賞した赤崎先生、天野先生、中村先生は、窒化ガリウムから青色のLEDを生み出し、産学官連携研究を通じて照明や通信などの分野で新しい価値を創造し、社会の変革、イノベーションを起こしました。本学にも、「窒化物半導体マルチビジネス創成センター」という、窒化物パワーデバイスの実用化と事業化に向けた研究開発拠点があります。そこでは、世界に先駆けて8インチ半導体ウェファの製造技術を開発し、省エネルギーの分野でイノベーションを起こすことが期待されています。

皆さんが今使っているスマホもイノベーションを起こしました。タッチパネルを用いた斬新なデザインと操作方法、人を魅了し引き付けるコンテンツなど独創的な発想で新しい世界を築きました。小さな箱の中の薄い基盤上に1000点もの電子部品が載り、それに加え、高速CPU、高解像度の液晶パネル、高密度のリチウムバッテリーなど、まさに最先端の科学技術がいっぱい詰まった技術の宝箱です。

さらに、スマホ同士を結ぶ高速通信ネットワーク技術と音声・画像などのメディア情報を処理する技術など多様な技術革新が集積してあります。独創的な発想で新しい価値を生み出して世界を変えようとする、チャレンジ精神あふれる様々な分野の工学研究者・技術者が数多くいたからこそ成し遂げられたイノベーションと言えます。こうした世界を動かす技術革新が、決して遠いところで起きているわけではありません。いま、ここにある "一つの夢、志"が、他の誰かの志と結びついて社会が大きく動く----そんなイノベーションを引き起こす可能性が皆さんには秘められています。

さて、皆さんは、「工学」を学ぶために名工大に入学されました。これから、それぞれの専門分野で基礎から応用へと「工学の山」を登っていくことになります。大学院に入学された皆さんは、既に3合目あるいは5合目あたりに差しかかっているのかも知れません。では、「工学の山」を登る過程で私たちは、あるいは皆さんは何を身につけていくのですか?

2005年、スティーブ・ジョブスは、スタンフォード大学の卒業式に招かれ、後に「Stay hungry, stay foolish」と題されたスピーチでこんな言葉を残しています。「何より大事なのは、自分の心と直観に従う勇気を持つことです。あなた方の心と直観は、自分が本当は何をしたいのかもう知っているはず。ほかのことは二の次で構わないのです」。

皆さんが大学で学ぶのは、単に専門の知識と技能だけではありません。専門のみならず、日本の歴史と風土、文化、社会の仕組み、そして世界を知るために幅広い教養を身に着け、自らの人生観、世界観を築く場所と時間を与えてくれるのが大学です。また、課外活動やグループ活動を通じて学ぶ体験も、今の皆さんの感性だからこそ得られるものが沢山あります。互いに触発し合い、切磋琢磨し、コミュニケーション能力を高め、また互いに成長しながら工学の山を登る、そのプロセスを通じて工学研究者・技術者の根底にある「心」を豊かにし、「直感」に磨きをかけて下さい。そして、その山の頂にあるのは、社会から期待される「イノベーションをめざす自立した工学研究者・技術者」です。頂きをめざして、学生生活を思う存分楽しみ、学問・研究に気概を持って取り組んでください。

最後にもう一つ、皆さんに期待されていることがあります。それは、国際性です。世界はどんどんグローバル化し、今、産業界や社会で求められている人材は、自らの考えを国際社会でしっかりと主張できる論理的な思考力、発信力、実行力をもった若者です。海外留学の経験は国際性を養う絶好の機会です。そのための環境整備を名工大は惜しみません。入学生の皆さん、工学研究者・技術者としてのグローバルステージをめざして頑張ってください。

名古屋工業大学は、皆さんの成長を力強く後押し、全力で支援し続けることを約束し、私の式辞といたします。

 平成27年4月6日       


ページトップへ