名古屋工業大学パンフレット
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2341社会工学科建築・デザイン分野4年井上祐紀さん特 集 活動実績ダイバーシティ・ガバナンス財務情報基金・WEBページ情報12名古屋工業大学レポート 20221 4号館エントランス「Sustainability」2 23号館壁画「砂漠のガーデン」3 NITech Hall 2F「笑ってほしい」4 図書館エントランス「MEET A NEW SELF」してくれました。また、ソーラーカー部の学生は、街灯の電力供給源となる太陽光発電システムの開発や、犬の彫刻(下図3)のしっぽのモータの開発に力を貸してくれました。  学生の参画を通じて感じたのは、学生の頼もしさとコラボレーションの面白さです。工学系と芸術系の学生の会議、どうファシリテーションしたらスムーズかという私の悩みは一瞬で吹き飛びました。アート作品に合わせて、ソーラーカー部が発電システムのセルを選定したかと思うと、逆に変わった形状のセルをソーラーカー部が提案して、また作品のイメージが変わり、作品をどんどんブラッシュアップする、とても活発なディスカッションが繰り広げられました。持続的可能なプロジェクトに 第1期(2022年5月まで)の14作品は展示が完了し、第2期として、2022年度中に13作品の設置を予定しています。キャンパスにアートが飾られ、学生の思考や生活に劇的な変化をもたらすということまでは期待していません。ですが、足を止めて壁画を見入る学生の姿や、作品の前で疑問を投げかけ合う様子を見かけることがあり、様々なきっかけや考える機会を与えられていることは実感しています。本プロジェクトは、日常的に芸術に触れることで心の豊かさを育み、大学が掲げる「心で工学」のプラットフォームになりつつあるのではないでしょうか。 2022年夏現在は作品を展示しているのみですが、鑑賞者に様々な作品の情報を提供できるよう、音声ガイダンスの導入を予定し、施設の重要な資産としてその価値が維持または向上するよう効果的なメンテナンス方法についても検討する予定です。作り手の思いを観る人に伝えたいし、20年、30年たった後も本学のキャンパスを彩る作品であってほしいから。音声ガイダンスについては、本学には音声や画像認証の専門家が多数いますから、ユニークなシステムになることも期待できそうです。 工学系の考え方では、ゴールを定めてそれに向かって研究を重ねるというアプローチが一般的ですが、芸術系では、作品作りにゴールを設けないものが多々あります。はじめから作品の完成形が頭にある場合ばかりではないし、制作途中で路線が大きく変わることもあるようです。本プロジェクトに関しても、作品展示が終わったら終了ではなく、持続可能なプロジェクトとなるように仕組みを整え、芸術性の高い工業大学へと変化していけたらいいと思います。いつもお世話になっている須藤先生から、建築・デザイン分野と美術部にプロジェクトの参加募集をしていると聞き、どちらにも所属する私なら力になれるかもと思い参加を決めました。23号館の壁画「砂漠のガーデン」(下図2)の制作をお手伝いしましたが、扱いづらい塗料に初めは苦戦し、作者のTEI(テイ)さんにご指導いただきながらの作業となりました。キャンパスが日々アートで彩られていく、その変化を見るのはとても楽しいです。このプロジェクトに参加できて良かったと思います。

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