名古屋工業大学パンフレット
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TOPIC 2TOPIC 318搬送時に測定した体温と計算による深部体温の比較AIによる熱中症搬送人数予測および新型コロナ感染者数の予測グラフ 高度防災工学研究センターは、本学が����年��月に開設した防災・減災の研究施設で、本学と名古屋大学、豊橋技術科学大学、静岡大学、岐阜大学、三重大学の連携による組織「東海圏減災研究コンソーシアム」の一翼を担っています。 本センターの役割は大きく�つあります。一つ目は「既存防災技術の集約と社会還元」。既存の様々な技術を整理・集約・仕分けし、実際に使える技術にアップデートしています。二つ目は「防災技術の開発と体系化・実用化」。新たな防災技術を開発し体系化するとともに、社会や行政への働きかけを行い、実用化のための社会環境整備を推進しています。三つ目は「新技術社会還元のための技術者教育」。開発した技術を広め、実施してもらうための技術者教育を行っています。 本センターの取組の中でも特に大きな成果を上げているのが木造 熱中症による救急搬送人員数は、年々増加傾向にあります。温暖化や高齢化の影響もあり、熱中症救急出動件数や患者数は今後さらに増加することが予測されています。この問題に取り組むべく、人体モデルを用いた大規模シミュレーションにより、加齢に伴う高齢者の発汗量減少や幼児の体形の違いなどが熱中症リスクとどう関連するかを分析してきました。 さらに����年�月から名古屋市消防局との共同研究を開始。消防局の持つビッグデータと本学の予測技術を融合し、熱中症搬送者数予測技術を開発しました。この技術によって一週間先までの熱中症リスクを予測することが可能となり、����年�月住宅の耐震リフォームです。従来工法を見直し、より安く簡易な工程で耐震化を実現する��種類の工法を開発。それを「耐震リ新工法の例(部分開口 構造用合板補強工法)フォーム達人塾」と名付けた講習従来工法では解体が必要だった天井、床、中段、枕棚/天袋を解体せずに、床~天井間のみを構造用合板で補強する。会を通して日本各地の技術者に伝えることで、古い家屋の耐震化を進めています。この新工法が全国の自治体で認可されるよう、根気よく働きかけを行うとともに、より多くの技術者に広めていきたいと考えています。 本センターは日本のみならず海外との交流や情報共有にも力を入れています。����年にフィリピン・ボホール島で大地震が発生した際には、JICA草の根技術協力事業「Bohorizon Project」を企画。ワークショップやシンポジウムを開催し、互いの技術や取組、関連情報を共有しあうことで、より多くの人々を災害から守り、新たな技術の開発に活かす活動を実施しています。今後も他の大学や国内外の自治体等と連携をとりながら、防災・減災に取り組んでいきます。から名古屋市内の保育所、幼稚園、小中学校、高等学校への予測情報提供が始まっています。 新型コロナウイルス禍においては、機械学習を用いて新規感染者数の予測を行いました。緊急事態宣言などの人の行動変容や、ワクチン効果を数値モデル化し、機械学習の入力データに用いることで、変異株の出現など、変わりゆくコロナ禍において高精度な長期予測を提供しました。計算シミュレーションと機械学習による予測技術は、医療分野など論理的に検証の難しい問題解決の手段として有効です。今後も産学官で連携し、様々な社会問題解決への貢献を目指します。名古屋工業大学レポート ����取組の紹介井戸田 秀樹 センター長大学院工学研究科工学専攻(社会工学領域)教授平田 晃正大学院工学研究科工学専攻(電気・機械工学領域)教授新たな防災・減災技術を中部から全国・海外へ「高度防災工学研究センター」の取組計算シミュレーションと機械学習で熱中症、新型コロナウイルス感染症等の動向を予測する

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