名古屋工業大学パンフレット
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TOPIC 123����年度から新設の「技術と芸術・文化」分野の�科目Nagoya Institute of Technology Report ���� 社会共創、技術者育成、研究開発の各戦略を円滑に推進し、名古屋工業大学のビジョンを実現するための基盤を強化するとともに、ステークホルダーからの信頼と支持を得られる体制と環境の整備を進めています。 私の専門は理論言語学です。本学では基礎類という共通教育をメインに教える教員が所属する部署で、学生の研究活動の基礎となる英語教育を担当してきました。周知の通り、大学には専門教育と共通教育(教養教育)の � つの柱があります。専門教育がメインで、共通教育は一般教養を学ぶサブ教育というイメージがあるかもしれませんが、最近では研究者・技術者に欠かせない教育として重要視されるようになり、リベラルアーツ教育と呼ばれるようになりました。こうした世の中の流れを受けて、本学でも共通教育の強化・充実に注力しており、推進担当として私が副学長に就任することになりました。リベラルアーツ系の教員が副学長に指名されたのは、共通教育改革に対して本学が本気で取り組む姿勢の表れだと受け止めています。 現在、注目されている教育手法の一つに「STEAM教育」があります。Science(科学)、Technology(技術)、Engineering(工学)、Arts(芸術)、Mathematics(数学)の � つの領域を統合的、横断的に学ばせることで、実社会で役立つ問題発見力・解決力の修得を目指す教育です。本学でもこの教育方針を踏襲し、����年度から「美学」「音楽論」「文学」「芸術・文化特殊講義」といった芸術系の共通教育科目を新設し、S・T・E・A・M を網羅したカリキュラムに変更します。これらの科目で培った知識、思考力、感性は、型に嵌まらないアイデアや多角的なものの見方につながり、修士・博士課程や実社会で活かされるとともに、生涯を通じて豊かな人生を送るための基盤になると期待しています。 新カリキュラムを作成する際には、リベラルアーツはもちろ美学美術史音楽論文学宗教文化論感性と社会 芸術・文化特殊講義ん専門教育も含めた多くの教員と相談し、議論し、折衝・調整をしました。今まで自分の担当科目、担当分野だけを見てきた私にとっては大変な仕事でしたが、一方で新たな発見もありました。一度も話をしたことがなかった、偉い先生という印象を持っていた教員が意外に気さくで話しやすい人だったり、あるいは、クールな印象であった教員からリベラルアーツ教育への深い思いを熱く語られたりと驚きの連続で、人と直接向き合って話をすることの大切さを実感しました。 このご時世に女性であることをことさら強調すべきではありませんが、名工大初の女性副学長ということで、責任としてはとても大きく、身のひきしまる思いです。これからも多くの教員と話をし、忌憚のない意見や提案を受け取り、検討・調整することで、本学のリベラルアーツ教育をより良いものにしていきたいと思っています。これまで縦割りになりがちだった各教科間の情報共有の強化、教員間の負担の均一化など、組織の改善を進め、学生により質の高い教育の場を提供していきます。技術と芸術・文化異文化理解日本文化論吉田 江依子 副学長(共通教育改革担当) / 大学院工学研究科 / 基礎類 教授名工大初の女性副学長に就任リベラルアーツの強化・充実を目指す組織強化教育・研究・社会貢献の機能を最大化する基盤づくり取組の紹介

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