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10月1日「グローバル共生情報研究センター」を設置しました

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カテゴリ:ニュース|2013年10月 4日掲載


10月1日(火)、名古屋工業大学は、これまでの情報分野における優れた研究実績を基に、人々が地球規模で互いの能力を活かし共に活きる社会を情報技術で実現する「グローバル共生情報研究センター」を設置しました。
今日の国際社会では、急速な社会のグローバル化によって、言語の違い・文化の違い・価値観の違い・精神や身体機能の違いなどの様々な相違が地球規模で顕在化し、これに伴う多種多様な社会問題が発生しています。例えば、企業の海外ビジネス展開は必須となっていますが、文化や言語や価値観の違いなどがその壁となっています。また、価値観や歴史観の相違から国際問題が各国間で多発しています。これらの多くは、互いの文化や価値観などの違いに基づくコミュニケーションの難しさや合意形成の難しさなどに端を発しています。
本研究センターでは、このような相互コミュニケーションや合意形成を情報技術によって支援・解決し、地球規模で共に活き、互いの能力を活かし合える社会の実現を目指しました。

概要


名称:グローバル共生情報研究センター(Global Symbiotic Information Research Center)
センター長:佐藤淳(兼)名古屋工業大学大学院工学研究科情報工学専攻教授
部門 :シンビオティック・コミュニケーション研究部門
     言語や文化の障壁を超えたグローバルコミュニケーションを実現する情報技術に関する研究
    シンビオティック・ライフ研究部門
    高齢者や非健常者の能力を引き出し社会参画を支援する情報技術に関する研究
    シンビオティック・クリエーション研究部門
    分散した人々の英知を地球規模で結集し創造的活動を実現する情報技術に関する研究
連携先 :国内研究機関:東京大学、名古屋大学、名古屋市立大学、理化学研究所、生理学研究所
      海外研究機関:ハーバード大学、MIT、カーネギーメロン大学、UCLA,ケンブリッジ大学、エジンバラ大学、インペリアルカレッジ等、
      海外のトップ大学

グローバルコミュニケーションや合意形成に関する名工大のこれまでの研究成果

【グローバルコミュニケーション技術】
これまでに、人間の話し言葉を認識し、同時通訳を行ったり会議の議事録を自動作成する技術などの開発に成功している。この技術では、話し手の特性(話者特性)に着目することで、従来にない高精度な音声認識を実現している。また音声合成技術では、世界に先駆けてHMM(隠れマルコフモデル)に基づく音声合成技術を開発すると同時に音声合成ツールキットHTSを全世界に公開し、このツールキットが音声合成における世界標準となっている。さらに、この技術をもとに個々の話し手の特性を学習し音声合成することで、話し手の特性を踏まえたコミュニケーション技術の開発に成功している。これらの成果は、NHKのサイエンスZEROなどの各種テレビ番組、新聞記事等で報道されており、さらには大手通信会社の携帯電話に搭載されるなど、新しいコミュニケーション技術として注目されている。また、同技術の開発者は平成24年度文部科学大臣表彰科学技術賞を受賞している。本研究センターでは、これらの音声認識合成技術をさらに発展させ、話し手や聞き手の文化的バックグラウンドを踏まえた音声認識・合成技術を開発することで、バックグラウンドの異なる人間間でのコミュニケーショントラブルを解消する技術の実現を目指す。

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【自動合意形成・自動交渉技術】
多様な価値観が存在する中で、人間同士の交渉を支援したり合意形成を支援するマルチエージェント技術の開発に成功している。この技術では、特に、既存の技術では難しく解析できなかった人間の価値観の複雑な依存性の解析を可能とした。これらの成果は、大規模な合意形成を支援するシステムの開発などへの応用が期待されている。また、内閣府最先端・次世代研究開発プロジェクトに「環境社会最適化シミュレーションを可能にする社会最適化アルゴリズム創出とその応用」の研究が採択され、社会メカニズムの最適化を支援する技術を開発中である。同技術の開発者は平成25年度文部科学大臣表彰科学技術賞を受賞している。本研究センターでは、これらの技術を活用することで、例えば異なる国の価値観の異なる企業同士での交渉を解析・可視化し、円滑な合意形成を促すことで企業の海外進出を支援する技術の開発を目指す。

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