日本オートモービル・ランボルギーニ先進複合材構造研究所(ACSLJapan)を設立しました
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カテゴリ:ニュース|2013年11月13日掲載
名古屋工業大学では、平成25年11月12日、日本オートモービル・ランボルギーニ先進複合材構造研究所(Automobili Lamborghini Advanced Composite Structures Laboratory Japan【ACSLJapan】)を設立しました。
この研究所は、Automobili Lamborghini Advanced Composite Structures Laboratory (米シアトル・ワシントン大学内)所長 パオロ・フェラボリを研究教授として迎え、CFRP(炭素繊維強化プラスチック)を研究、開発する研究拠点です。
ACSLJapanでは、フェラボリが開発した、炭素繊維と樹脂の複合材料を金型を用いて軽量な炭素繊維複合材部材を短時間に量産する技術(フォージド・コンポジット技術)を中核として、自動車、航空機関係などさまざまな企業と共同で次世代材料のCFRPの研究・開発を行う予定です。
また、企業との共同研究を通じ、炭素繊維複合材料を用いた製品の加工から量産に至る幅広い分野の技術を集積し、産業創造に資する研究プラットフォームを構築いたします。
【ACSLJapan】の目的
a) 研究
多くの企業との共同研究を通じ、炭素繊維複合材料を用いた製品の加工から量産に至る幅広い分野の技術を集積し、産業創造に資する研究プラットフォームを構築する。
b) 教育
大学生・大学院生が共同研究に参画し、実際に企業との取り組みの第一線に入り活動できる仕組みを造る。国内外の関係する学会等で発表する取り組みも考えられる。更に、フェラボリが大学院等で特別講義を実施し、将来の炭素繊維複合材料による軽量化・機能化に関する知見を、学内外に広めていく。
c) 社会貢献
シンポジウムなどを通じて、本学拠点で得られた知見を広め、多くの企業・研究機関・行政などとも幅広く連携し、我が国における炭素繊維複合材料を用いた構造部材量産技術開発のハブとして機能する。
d) 国際展開
日本の諸産業を通じACSLJの取り組みを世界に発信していく。ランボルギーニ社があるイタリア、米国、日本の3国共同の国際会議なども開催する。
炭素繊維強化プラスチック(CFRP - Carbon Fiber Reinforced Plastic)とは
CFRP(炭素繊維強化プラスチック)は、強化材に炭素繊維を用いた繊維強化プラスチックであり、高い強度と軽さを併せ持つ材料である。次世代の材料として、世界中で研究が進められている。
日本は、炭素繊維の生産量の世界のトップシェアを占めるが、それをCFRP製品にする技術、とりわけ成形加工技術、デザイン技術等製品化では欧米レベルには至っていない。
パオロ・フェラボリの技術は世界的に評価が高く、長繊維でないチョップ・カーボン・ファーバーという素材を使い、RTM(Resin Transfer Molding)と※フォージド・コンポジット技術に焦点を当て、量産化(quantity production)を視野に入れつつある。自動化、統合化(一体成型)、サイクルタイム短縮、コスト低減がキーワードである。
※ フォージド・コンポジット技術は複合材のプレス加工(鍛造)技術
オートモービル・ランボルギーニ先進複合材構造研究所(Automobili Lamborghini Advanced Composite Structures Laboratory)とは
オートモービル・ランボルギーニ先進複合材構造研究所(Automobili Lamborghini Advanced Composite Structures Laboratory)は、
2007年アメリカワシントン大学に設立された、パオロ・フェラボリが所長を務める先進複合材構造研究所です。
軽量・高剛性な次世代カーボン技術は、運動性能を高める素材として、ランボルギーニ社などのスポーツカーメーカーが採用してきました。また最近では、車体を軽くすることでCO2排出量を削減するという、カーボンが持つ環境面での効果も注目されています。現時点では価格が高いのがネックですが、日本メーカーの間では低コストのカーボンファイバー素材を開発する動きも出てきています。
ランボルギーニ社は、次世代カーボン技術の開発を目指して、イタリア・先進複合素材研究センター(ACRC: Advanced Composite Research Center)とシアトル・先進複合構造研究所(ACSL: Advanced Composite Structures Laboratory)というふたつの研究開発センターを設立し、ボーイングをはじめとするパートナーとの共同研究開発を通じて、テクノロジーを進化・発展させています。カーボンは航空機にも欠かせない素材であることから、ACSLへはボーイング社、FAA、そしてワシントン大学も研究へ参画しています。
スーパーカーメーカーにとっても今後、CO2排出量削減は避けられないテーマです。ランボルギーニ社の次世代カーボン技術が、このたび日本の名工大に初上陸します。
オートモービル・ランボルギーニ先進複合材構造研究所(Automobili Lamborghini Advanced Composite Structures Laboratory
パオロ・フェラボリとは
ワシントン大学の航空宇宙学科の教授で、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)の研究者です。
ノースロップグラマン、 COMAC 、キャロウェイゴルフ、ボーイング社、および連邦航空局などとの共同研究で約4億円の外部資金を獲得し、2000年以来、70以上の会議論文を執筆し、研究成果により国内外で様々な賞を受賞しています。
独自の技術である、フォージド・コンポジット技術は、ランボルギーニ・セストエレメントで2010年パリのモーターショウで初めて公開され、その技術はキャロウェイゴルフのドライバーにも使用されています。
フォージド・コンポジット技術
短いカーボンファイバーを金型でホットプレスする手法です。このプロセスにより、複雑な構造でも容易に製作できるようになります。ランボルギーニ・セストエレメントでは、モノコック・アンダーサイドやサスペンションアームの製作に応用されました。
左から江龍副学長、高橋学長、パオロ研究教授、マシーニ氏(Automobili Lamborghini S.p.A.)、トロンベッタ氏(在日イタリア大使館参事官)
左:パオロ・フェラボリ研究教授 右:アッティリオ・マシーニ(Automobili Lamborghini S.p.A.)
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