マイクロ波の非熱的効果により植物由来の素材 ポリ乳酸プラスチックの短時間合成に成功 -マイクロ波でプラスチック革命-
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カテゴリ:ニュース|2014年6月17日掲載
国立大学法人名古屋工業大学、大学共同利用機関法人自然科学研究機構核融合科学研究所及び中部電力株式会社は共同で、ポリ乳酸をマイクロ波の非熱的効果を使って素早く製造する技術を開発しました。ポリ乳酸とはサトウキビ、トウモロコシ、生ごみのでんぷんを抽出し発酵させた乳酸を結合(重縮合)させて得られる自然にやさしいプラスチックで、石油由来でないプラスチックとして普及が期待されています。今回の技術はプラスチック産業の材料製造工程の低温化・短時間化を実現し、省エネルギーへ大きく貢献する可能性があります。この成果はイギリス王立化学会Polymer Chemistry(インパクトファクター5.23)に掲載されました。
名古屋工業大学、核融合科学研究所及び中部電力は、3年前に共同研究契約を締結しました。還流(温度一定)条件で乳酸(名古屋工業大学 未来材料創成工学専攻 准教授 高須昭則 分担)の重縮合に、マイクロ波(核融合科学研究所分担)を用いることに成功。この過程でマイクロ波の非熱的効果を明らかにするという学術的知見も得られました。また、シングルモード波共振器を用いて、マイクロ波を電気成分と磁気成分に分離、各成分がポリ乳酸合成に与える影響を調査し、電気成分が化学反応の促進に、より有効であることを解明。さらに、エネルギーの効率的な利用技術に関する豊富な知見を持つ中部電力が中心となり、プラスチック産業等の生産プロセスへの実用化に向け取り組んでいます。なお、本研究には山田 真司(当時、名古屋工業大学大学院博士後期課程、現在はポリプラスチックス株式会社に在職)の協力も得ています。
■マイクロ波とは
電磁波の一種。一般的には電子レンジで食品などを温めることに使われています。近年、化学反応についても新規加熱法として注目されています。
■非熱的効果とは
マイクロ波化学において、マイクロ波加熱を用いて合成する場合に起きる、熱では説明できない現象を指します。マイクロ波化学は研究の歴史が浅く、正確な定義はあいまいですが、非熱的効果に関する過去の報告例の多くは熱伝導速度による熱的な効果として考えられ、更なる調査が期待されていました。
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