学長より新年のご挨拶
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カテゴリ:ニュース|2016年1月 1日掲載
新年あけましておめでとうございます。
皆様、お健やかに新しい年をお迎えのこととお慶び申し上げます。
今年は、十干十二支では、「丙申(ひのえさる)」。「丙」は「さかん」や「あきらか」を意味し、「申」は「伸」に通じて「まっすぐにのびていく」様を表すと言います。この言が象徴するように、凛とした、明るくのびのびとした年になることを期待したいと思います。
さて、将来ビジョン「伝統を礎に、新たなグローバルステージ」へと向かう大学改革アクションプランの実施に向け、本年は、第三期中期目標・中期計画がスタートします。年頭にあたり、昨年を振り返りながら改めて本学がめざすところを述べて新年のご挨拶とさせていただきます。
- 工学教育のフロントランナ -
大学改革の柱となる「名工大版理工系人材育成戦略」は、世界屈指のものづくり産業の集積地である中京地域に位置し、産学連携を教育と研究の両輪に据えて築いてきた伝統と実績を有する名古屋工業大学だからこそできる教育研究改革です。本年4月から、新学科・新専攻体制へと教育組織を再編します。この再編により、幅広い分野をカバーする工学の総合大学としての強みを活かし、学問体系にしっかりと根を下ろしながらも新たな社会・産業界の人材ニーズに対応いたします。中でも創造工学教育課程は、科学技術に対する多面的な視点と新たな価値観で、未来の産業、社会を工学技術で革新する技術者・研究者を育成する学部・大学院博士前期課程6年一貫であり、社会、産業界の期待に応えた時代をリードする工学教育モデルです。新教育システムを円滑かつ着実に実施していくため、教職員の皆様と心をひとつにして改革に取り組んでまいります。本年は、さらに「名工大版理工系人材育成戦略」を拡充し、産学官教育連携会議で得られる様々な提言を基に、将来の研究リーダーとなる工学系ドクター人材の育成策についても検討を進めていきます。
これからも名古屋工業大学は、工学教育のフロントランナーとなるべく、一層磨きをかけてまいります。
- 研究のグローバル展開 -
グローバル化で激変する社会構造と激化する国際競争のなかで、大学における教育研究も急速にグローバル化の波にさらされています。たとえば、教育と研究の両面において国際的な指標による評価が重視され、大学の世界ランキングは世界から優秀な学生を集める指標となっています。本学の研究力は世界的にも極めて高いレベルにあると自負しています。国際的な評価の中で世界トップレベルをめざすためには、国際的な共同研究ネットワークを強固なものにし、研究成果を広く世界に発信していかなければなりません。昨年設置した「材料科学フロンティア研究院」「情報科学フロンティア研究院」を中心とした研究ユニットにて、今年も海外著名大学からの外国人教員の積極的な雇用・委嘱を実施してまいります。また、若手教員の積極的な採用と育成にも力を注いでいきます。研究力・教育力を養うため、一年間、本務を離れて海外に送り出す「若手研究者在外研究員制度」をスタートさせました。こうした仕組みは、本学の研究力の国際展開に、将来、大きく寄与するものであると確信しています。
本年は、こうした取り組みを一層充実させていくとともに、URAオフィスによる研究動向調査・分析などを活用して、戦略的、組織的に研究強化支援を行い、特定分野での世界的拠点形成をめざします。
- 産学官連携教育研究の拡大 -
本学には、社会・産業界の中の「活きた問題」を掘り起し、それを「活きた研究」として極めて、学問の根を深くおろすとともに、「活きた教育」として現す、という伝統の精神が根付いています。それを映して、産学官共同研究の実績は常にわが国の最上位にランクされ、昨年度は、産学共同研究の契約件数が初めて250件を超えました。さらに、今年度はそれを上回る勢いで推移しています。今、知識集約型産業への産業構造の変化や経営におけるアライアンス型の普及という産業界の変化に対応して、大学への産学官連携の期待がこれまでにも増して高まっています。それは、イノベーション創出をめざした研究開発の橋渡し機能の強化であり、国立大学の経営力強化に向け大学間競争の活性化を促して技術シーズを有する大学の知の創出機能の強化であり、わが国の産業を下支えする地域中小企業への貢献です。
昨年竣工した新4号館1階に設置した「産学官交流プラザ」は、行政機関などを呼び込むことで産官学の連携を強化する交流スペースです。また、同8階に設置した「産学協同研究講座・産学協同研究部門」は、企業が学内の教育研究資源を活用しながら自立的に研究を進めることができるスペースです。これらの環境整備は、本学の研究成果を企業に橋渡しする機能の強化につながる仕組みで、今年も積極的な活用が期待されます。さらに、昨年、名古屋大学など国立4大学と立ち上げた「東海地区大学広域ベンチャーファンド」は、複数の大学が協力して人材や知的財産などの資源を結集するとともに、民間ベンチャーキャピタルと連携して運営を図るもので、イノベーションの実現を促す先駆的な取り組みとして引き続き今年も充実を図ってまいります。
昨年から本格的にスタートした地域の中小企業を対象とした「産学官連携学び合い」プログラムは、大学にとっては学生の実践力を涵養する社会実装教育や産学共同研究へと繋がり、企業にとっては新たな製品に繋がる新技術の創出が期待できる本学オリジナルの実践型教育プログラムです。名古屋工業大学研究協力会のご支援なども得ながら、教育・人材交流の面では「学び合い」、研究の面では意見を「すり合わせ」する場と機会を提供して、地域中小企業との産学官連携を一層強めてまいります。
一方、現在わが国の研究開発費に占める大学への産業界からの出資額は2.5%に過ぎません。米国は5.2%、ドイツでは14%に上ります。産業界の期待が高まっている今こそ、国立大学は、産学官連携に取り組む姿勢を変え、仕組みを整えて産業界の期待に応え、産学連携による教育研究資金を欧米並みに拡大していく時です。名古屋工業大学は、教育においても研究においても産学官連携を積極的に推進してまいります。
- ダイバーシティ環境の整備 -
昨年は、「男女共同推進参画センター」を中心に全学体制で取り組んできたOGバンク創設、女性限定教員公募、女性研究者支援事業などの諸活動および活発な広報活動に対して、社会から高い評価をいただくことができました。本年も引き続き、工学分野のさらなる拡大をめざし「女性の活力を大学の活力に」を合言葉に推進していきたいと思います。また、「アジア人材構想ものづくりスーパーエンジニア養成プログラム」での教育を充実したことで、留学生の数も上昇に転じていますので、本年は、ものづくりの拠点である中京地域に位置する名古屋工業大学の魅力を広く世界に発信し、アジアから欧州、アフリカへと獲得地域を拡大して国際交流を推進していきます。さらに、昨年、米国における自動車産業のメッカであるミシガンに、学生の海外インターンシップ先開拓のため同窓会を設置しました。今年1月には、ハノイに地元の日本企業も参画する留学生同窓会を創設します。本年は、こうした活動を推し進め、留学生の増加、学生の海外派遣先の開拓にも拍車をかけていきます。
女性教員、女子学生、留学生のみならず、外国人教員、企業型教員、社会人学生など、多様な人材が共に協働するキャンパスをめざしたダイバーシティ環境の整備に力を注いでまいります。
- 同窓生のご支援を学生の活力に -
伝統を受け継ぐもののひとつに学風があり、それを代々伝えているのは世代を超えた同窓生の繋がりです。昨年11月に、本学初めてとなるホームカミングデーを名古屋工業会と共催で開催し、240名を超える同窓生にご参加いただきました。本年秋には、本学の新たなスタートを期した新講堂も竣工し、ホームカミングデーにあわせて記念のイベントも予定しております。学生の課外活動では、ロボコン、ソーラーカー、フォーミュラーカー、鳥人間など本学らしい技術を活かした活躍をはじめ、運動・文化問わず、大いに活躍しています。国際会議での研究発表、海外研究インターンシップなど、海外に勉学の場所を求める学生も年々増加しています。同窓生の皆様からの多大なるご支援とたくさんの熱いご声援がこうした在学生の活力となります。本年も、より一層のご支援をお願い申し上げる次第です。
教育においても研究においても、より良きものを求めていく力の源泉は、一人一人の教職員、学生の熱意と不断の努力です。「教学相長」という四字成語があります。中国の「礼記18編『學記』」の中の「學びて然る後に足らざるを知り、教えて然る後に困しむを知る。足らざるを知りて然る後に能く自らに反るなり。困しむを知りて然る後に能く自らに强いるなり。故に曰く、教學相長ずなりと」に由来します。教育者のみならず、研究にも通じ、研究者、技術者をめざす者の心構えを示した言葉です。
社会が大きく変わろうとする今こそ、名古屋工業大学を真に良き大学として社会にその存在を示す、まさに時代(とき)です。社会に貢献するため、教育と研究に対して、真摯に、そして矜持をもって臨んでいくことが大学の使命です。本学教職員のみならず、学生、同窓生、企業人、地域の皆様と意識の共有をはかり、今年も、大学改革に臨んでまいりたいと思います。
皆様の一層のご協力、ご支援をお願いするとともに、皆様にとって良き一年となりますことを心より祈念いたします。
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