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学長のことば 2023年度 学位記授与式式辞(2024年3月)

IMG_1960r.jpg 学位取得、誠におめでとうございます。本学の教職員を代表して、心からお祝い申し上げます。また、これまで皆さんを励まし、支えてこられた保護者・関係者の皆様にも心からお慶び申し上げます。
 皆さんは100年に一度のパンデミックに起因する変則的な教育・研究環境においても卒業・修了認定に必要な要件を全て満たし、無事、今日の日を迎えられました。様々な困難にも打ち勝ちながら学び抜かれたことに最大の敬意を表します。
 本日は皆さんに贈る言葉として、哲学者の鷲田清一(わしだ・きよかず)先生のショートメッセージを2つお届けしたいと思います。
 まず、「失敗」についてです。「私は失敗したことがない。ただ、1万通りの、うまくいかない方法を見つけただけだ」というエジソンの言葉を引用しています。その上で、偉大な発明の前には実験や工夫のゴミの山があることをかつての現場技術者は知っていた。ところが最近、画期的な革新・発明が起こりにくいのは、失敗しないから今の生活があるのだ、と自らに言い聞かす小心ものばかりの社会、やり直しを許さない社会になっているからではないかと指摘しています。失敗が新たな気づきや価値創造に繋がるんだから、と背中を押してくれているのだと思います。
 二つ目は「優等生は嫌われる」話です。関西の言い伝えで、アホになれん奴がホンマのアホや、というのがあります。もう少し正確にいえば、優等生然とした振る舞いは小ばかにされます。成績が良いことはそれほど評価されずに、自分をあえて笑われ役やアホになりきることで、他の一人ひとりの言い分を聴き、でも最後に「しゃあないな」と一つにまとめ上げることのできる人が本当に賢いとされる。おもろいやつ、頼りになるやつのほうが、うんと評価が高いのです。
 これだけ賢い人間が揃っているのに、2000年以降、国際的地位が低下してしまった今の日本に対し、「役に立たない優等生より役に立つバカになれ!」が、鷲田先生からの日本復活のエールだと感じました。
 失敗を恐れることなく、いいかっこもせず、人のために自分の時間を使う。
 このような役に立つ技術者・研究者を目指し、更に、次の世代へと繋いで下さると幸いです。

 本日は誠におめでとうございます。

 

2024年3月26日
名古屋工業大学長
木下 隆利


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