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未来材料創成工学専攻高須准教授が電気の力で泳ぐ非イオン性高分子を世界で初めて発見しました

カテゴリ:ニュース|2014年04月10日掲載


未来材料創成工学専攻高須准教授らは、研究室で合成した ポリ(エステル-スルホン)が電荷を有していないにもかかわらず、電気の力によって溶液中(分散液中)を“泳ぐ”(電気泳動)ことを発見しました。
電荷を持たない高分子が電気泳動することを発見した世界で初めての例です。
その研究内容が、イギリス王立化学会 RSC Advances (http://pubs.rsc.org/en/Journals/JournalIssues/RA)へ掲載されました。

論文のテーマ


タイトル:「Anode-Selective Coating of Titanium (IV) Oxide (TiO2) Using Electrophoretic Sulfone-Containing Click Polyester」
論文テーマ:電気泳動堆積(EPD)法による機能性有機・無機複合材料の創製
掲載される雑誌のRSC Advancesはイギリス王立化学会が、『複合領域』と『次世代の研究シーズ』をコンセプトとして2011年から発刊している雑誌で、インパクトファクターは、2.6。

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陽極に堆積した非イオン性高分子

 

この新発見は、電荷をもたないが電気特性を持つポリエステルを利用すれば、様々な高性能ポリエステル/無機複合材料を合成することができます。また、今まで不可能であった金属基盤に無機物質を電極選択的にコーティングすることができます。
具体的には、無機物質として骨の再生を促す生体活性ガラス(Bioglass®45S5)や太陽光照射下で有機物を分解(光触媒効果)する酸化チタン(Ⅳ)(TiO2) を用いると、今まで不可能であった以下のことが実現可能となります。

・人工関節など既存の人工骨の表面に生体活性ガラスをコーティングした骨再生材料
・自動車や建物の塗装に酸化チタンの複合膜を用いることで、PM2.5などの有害有機物を分解する環境浄化
・白黒反転の電子ペーパー
・色素増感型の太陽電池への応用

複合化の方法としては、溶液に電極を浸し電気を流すことによって溶液中の粒子を電極上に堆積させる電気泳動堆積(EPD)法が採用できることが、すでに実証実験済みです。

takasu3.jpg
 

発見のきっかけ


この発見は、高性能ポリエステル/無機複合材料として、酸化チタン(TiO2)とポリ(エステル-スルホン)を複合化させる実験中に、通常であれば、陰極に電気泳動するはずの酸化チタン(TiO2)が真逆の陽極へ泳動したことがきっかけで、発見しました。
通常と真逆の反応に、当初は信じられず考えられる様々な材料で実験したところ、高分子だけでも同じ結果となることが分かりました。
いままでの常識を覆す電荷を持たない高分子が電気泳動することが明らかとなりました。
 


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