名古屋工業大学基金の奨学生である山門陵平さんの研究成果がMacromolecular Chemistry and Physicsへ掲載されます
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カテゴリ:ニュース|2014年6月 9日掲載
山門陵平さん(2014年3月物質工学専攻博士後期課程修了)は、2013年1月から~2013年3月までの3か月間、名古屋工業大学基金「名古屋工業大学基金NIT国際工学賞海外派遣事業派遣学生」のサポートにより留学する機会を得ました。今回、現地での研究成果がMacromolecular Chemistry and Physicsへ掲載されることが決定しました。
研究背景
研究課題であるメタセシス反応とは、2種のオレフィンの組み替えにより選択的に炭素−炭素結合を形成することができる反応である。2005年にはその触媒を開発したGrubbsらにノーベル賞が与えられ、現在広く工業的にも利用されている有機化学に欠かせない反応である。筆者の留学先であるフロリダ大学Wagener研究室では、メタセシス反応のうちのひとつである非環状ジエンメタセシスポリメリゼーション(ADMET重合)を利用し、さまざまな置換基の規則的導入、及び密度のコントロールされたオレフィン含有炭化水素ポリマーの合成を可能にしてきた。
研究概要
従来の方法では規則的にヒドロキシ基を導入したポリエチレンの合成は困難であった。本研究ではヒドロキシ基を有する対称,-ジエンモノマーを合成し、ADMET重合、水素化を行うことで、ヒドロキシ基を規則的に導入したポリエチレンの合成に成功した。さらに、モノマーの鎖長をコントロールすることで、ヒドロキシ基の導入密度が異なるポリエチレンを合成し、熱力学特性に及ぼす影響について検討した。その結果、驚くことにヒドロキシ基の導入割合が熱力学特性に及ぼす影響は小さかった。これはヒドロキシ間の水素結合の寄与が大きく、低い導入率でも十分な影響を与えた為だと考えられ、今後、実用的材料の創製を見据えたさらなる展開が期待される。
山門陵平さんのことば
2014年3月に博士後期課程を修了後、現在(2014年6月)は立命館大学前田研究室にて博士研究員として着任し、平面状π電子系からなる機能的マテリアルの創製を目的として、新規平面状π電子系の合成を基軸とした研究を行っています。今までと異なる分野での挑戦でありますが、名古屋工業大学やフロリダ大学で得た経験をもとに、国内外に強くアピールできるような研究を行っていきたいです。
末筆ながら、今回の留学の機会を与えていただきました名古屋工業大学基金、指導教員の高木幸治准教授をはじめ、関係するすべての方に深く感謝いたします。
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