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神取教授、井上助教らの論文がNature誌のArticleに掲載されました

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カテゴリ:ニュース|2015年4月 7日掲載


 Nature誌は、多くの研究者が掲載を目指すインパクトの高い総合科学ジャーナルであり、毎週、2~4報のArticleと10~15報のLetterが掲載されます。このたび、未来材料創成工学専攻ナノ・ライフ変換科学分野の神取秀樹教授(オプトバイオテクノロジー研究センター長)、井上圭一助教らは、東大・濡木教授のグループなど国内6グループとの共同研究の成果として、光駆動ナトリウムポンプの構造を基盤とした輸送メカニズムに関する論文をNature誌にArticleとして発表しました(出版に先立って今週の電子版に掲載)。
 光駆動ナトリウムポンプKR2は神取教授らが2013年にその存在を発表した新規タンパク質であり、今回、東大・濡木教授のグループによって決定された立体構造をもとに、神取教授のグループが重要なアミノ酸の性質を詳細に調べ、本論文中で輸送モデルを提唱しました。光駆動ナトリウムポンプは脳研究に革新をもたらしている光遺伝学(オプトジェネティクス)の材料として期待されていますが、立体構造をもとにナトリウムだけでなくカリウムイオンを輸送するタンパク質の創成にも成功しています。
 論文内容の詳細は東大から発表されたプレスリリースをご覧ください。

 神取教授のコメント
『本論文には国内7グループの23名が著者として名を連ねており、オールジャパンで達成した研究成果です。日本から発信した光駆動ナトリウムポンプKR2の構造解析は世界中の競争でしたが、加藤英明博士ら東大・濡木研が構造を決定し、我々の手で輸送モデルを発表することができてよかったと思います。研究に参加した方々に心より感謝いたします。
 この論文には本学のメンバーも大きな貢献をしてくれました。井上圭一博士(助教)は現場ですべての研究に携わってくれました。吉住 玲博士(日本学術振興会特別研究員RPD)は変異体作製や機能解析の責任者として仕事をしてくれました。加藤善隆君(未来材料創成工学専攻博士後期課程3年、日本学術振興会特別研究員DC2)、大野 光君(未来材料創成工学専攻博士前期課程を2年前に修了)は様々な分光解析、機能解析を行ってくれました。論文リバイズの段階で参加してくれた今野雅恵博士(概算要求事業「光といのち」研究の世界拠点形成 博士研究員)は、カリウムポンプを創製して最後の切り札となりました。彼らが本研究に欠くことのできない存在として頑張ってくれたことを嬉しく思います。
 本学のオプトバイオテクノロジー研究センターが推進する概算要求事業「光といのち」研究の世界拠点形成においては、国内連携として東大との構造解析に関する共同研究を謳っており、本成果はまさに概算要求事業の成果と言えるでしょう。私たちは「光といのち」研究という本学の強みをさらにアピールしてゆきたいと思います。
 今回、ナトリウムイオンの一方向への輸送を説明できるモデルを提唱することができましたが、それを実証していくのはこれからのことです。研究室内外の仲間とともにさらに前に進みたいと思います。』
Nature論文へのリンク