大幸 裕介
DAIKO Yusuke
ガラスを生かした新機能材料〜バイオ、低軌道衛星、燃料電池〜
ガラスは「電気を通さない」というイメージがありますが、私たちが研究しているのは「イオン伝導性ガラス」といってガラス中を特定のイオンが高速に移動するものです。イオン伝導体はリチウムイオン電池や、燃料電池に欠かせません。ガラスは大きな面積を安く作ることが可能なうえ、高温や強い酸化(酸素)/還元(水素)でも安定で、もしもガラスを燃料電池に応用できれば、水素エネルギー社会を大きく変える可能性があると考えています。さらに、先端を鋭くしたイオン伝導性ガラスに電圧をかけるとイオンが電界放出する現象も見つけました。生細胞にイオンを照射すると細胞活性が向上したり,炎症性関連遺伝子の発現が抑制されることを確認しています。このイオン放出を利用した小型探査機用の新型イオンエンジン開発も始めています。

担当分野・プログラム
研究区分
材料工学
人間医工学
研究テーマ
- 歯科治療を目指した大気圧F-イオン注入によるHAp表面の局所フッ化
- リン酸塩ガラスの固相イオン交換による中温作動燃料電池の開発
- 地球低軌道を模擬した紫外線環境下でのイオン伝導性ガラスエミッターの耐久性評価
- 銀イオン照射を照射したマクロファージの炎症緩和作用
メッセージ
高校3年生のとき、進学先に悩んでいた私に担任の先生が「材料が変わると工学、そして社会が変わる」と声をかけてくれました。その言葉は今も、材料開発を続ける原点になっています。私たちの暮らしを便利にする道具や、スマートフォンのような革新的なデバイスの背景には、必ず新しい材料の発見や改良があります。私が研究しているのは、イオン伝導性ガラスという、ガラスの中をイオンが動く不思議な材料です。ガラスは身近でありながら、組成や構造を工夫することで、電池やセンサー、医療機器、さらには宇宙環境で使われる材料へと発展する可能性を秘めています。私は「ガラスだからこそできること」「ガラスでなければ作れないもの」を探しながら、日々研究に取り組んでいます。身近なガラスが、エネルギー、医療、宇宙の未来を切り開くかもしれない。その可能性を信じて、材料から社会を変える研究に挑戦しています。
