江越 充
EGOSHI Mitsuru
建築環境から工学的に“行間”を作る
建築環境工学では、主に建築空間の光・音・熱・空気を工学的に捉え、人にとっての快適性と省エネルギーの両立を図る方法を考えます。本研究室ではさらに、空間に「味わい」や「余韻」を生む条件に着目しています。ここでいう「行間」とは、情報や刺激をあえて与え切らず、利用者の想像や能動的な関わりを促す余地のことです。
例えば、光の暗がりや音の少ない領域を意図的に設け、印象評価、視線計測、生理指標(心拍など身体の反応を示すデータ)を組み合わせてその影響を検証します。写真は研究成果を実践した事例で、あえて照らさない桜を作り、来場者が想像する余地を残す仕掛けを取り入れています。
環境の物理的な状態を数値で捉え、人が感じる静けさ、安心感、魅力、滞在したくなる気持ちとの関係を明らかにすることで、再現性を持って機能性と情趣を両立する建築環境の実現を目指します。

担当分野・プログラム
研究区分
建築学
研究テーマ
- 不均一な光環境における光の重心の知覚モデルの解明
- ゆらぎを有する建築環境による心理・生理的影響の解明
- 良い暗さを実現する住環境照明の開発
- 影による心理・生理的影響の解明
メッセージ
省エネルギーと快適性を両立することは、これからの建築に欠かせません。加えて今後の建築には、激化する気候変動の影響や情報・刺激の過剰さから人の心身を守る「シェルター」としての役割も高まると考えています。
人が過酷な気候条件や過剰な注意の負荷から少し離れ、心身を整え、次の活動へ向かうことを支援する環境とは、どのようなものでしょうか。自然との接点が心身の回復を支えるとする注意回復理論やバイオフィリックデザインの知見も手がかりに、身体的・心理的な状態を整える建築環境の新しいあり方を考えています。環境への負荷を減らしつつ、日々を少し深く味わえる建築環境を実現し、次の世代へ繋ぐための研究を続けていきます。
