廣田 雄一朗
HIROTA Yuichiro
ナノ設計から挑む、化学工業の脱炭素化を担う「分離膜」開発
現代社会に不可欠な化学工業において、製造工程の省エネルギー化と環境負荷低減は喫緊の課題です。私は、実験室での発見を社会実装へ繋げる「化学工学」の知見を活かし、革新的な分離プロセスの構築に取り組んでいます。具体的には、ナノスケールの孔をもつ「ゼオライト」や、独自の溶解特性をもつ「イオン液体」を用い、特定の分子を選択的に通す「分離膜」を研究しています。従来の蒸留法は、多大な熱エネルギーを必要としますが、この膜技術を応用すれば、加熱に頼らない効率的な物質分離が可能です。さらに、触媒反応と分離膜を組み合わせ、「反応と分離を同時に行う」高度なシステムを構築することで、設備の小型化も実現できます。分子レベルの材料設計から工場全体のプロセスデザインまでを一貫して描くことで、持続可能なものづくりの基盤となる次世代技術の確立を目指しています。

メッセージ
医薬品や燃料などを供給する化学プラントは、製造過程で膨大なエネルギーを消費します。特に、混合物から特定の成分を回収する『分離』工程の効率化が大きな課題です。私の専門は『化学工学』です。これは実験室の成果を、安全・安価かつ低環境負荷で『工業化』する手法を追究する学問です。その中で私は、特定の分子を選択的に通す『分離膜』を研究しています。この薄い膜で成分抽出が可能になれば、工場のエネルギー消費を劇的に抑制できます。化学工学の知見で革新的な分離膜を設計し、世界のものづくりを根底から省エネ化することを目指しています。
