礒部 雅晴
ISOBE Masaharu
分子の協働と相転移の神秘を高速アルゴリズムで解明
多数の分子の振る舞いをコンピュータで再現し、物質の性質を調べる「分子シミュレーション」の研究を行っています。氷が水になる相転移、ガラスのような遅い緩和現象、粉の流れ、さらには生物の群れの動きまで、一見異なる複雑な現象の背後には共通の法則が隠れています。個々の分子の動きを直接観察することは実験では難しく、理論だけでは複雑すぎて扱いきれません。そこで1950年代、コンピュータの中に分子の世界をまるごと作り出し、一つひとつの分子の動きからマクロな協働現象を読み解く新しい方法論が誕生しました。以来、この手法は物理学の強力な方法論として発展を続けています。本研究室では、この分野の創始者の一人であるバーニ・アルダー氏との共同研究を通して得た貴重な経験をもとに、高速な計算アルゴリズムや革新的な方法論の開発、それらを応用した大規模シミュレーションにより、統計物理学における未解決問題の解決に挑戦しています。ミクロとマクロをつなぐ架け橋として、自然界に潜む普遍的な法則の発見を目指しています。

物理工学類|准教授
礒部 雅晴(イソベ マサハル)
ISOBE Masaharu
キーワード
担当分野・プログラム
研究区分
研究テーマ
- 相転移・融解現象の計算統計物理学
- 構造ガラスの動的ファシリテーションと深層学習予測
- 粉体・散逸系とナノスケール熱機関
- アクティブマターの集団運動と非平衡物理
- 高速イベント駆動アルゴリズムと局所構造解析法の開発
メッセージ
私たちの身の回りには、氷が水になる、砂山が崩れる、鳥の群れが一斉に向きを変えるなど、たくさんの小さな要素が協力して生み出す不思議な現象があふれています。こうした現象の仕組みを、コンピュータの中に分子の世界を再現して解き明かすのが私たちの研究です。一つひとつは単純な動きをする分子でも、膨大な数が集まると思いもよらない振る舞いが現れます。その背後にある共通の法則を見つけることは、新しい材料の開発や防災、混雑の解消、エネルギーの有効利用など、社会が直面する課題の解決にもつながります。研究室では多様なメンバーが集い、世界の研究者と協力しながら、まだ誰も解いたことのない問題に挑んでいます。「なぜそうなるのか」という素朴な問いを大切にしながら、自然界の奥深さに迫る研究を一緒に楽しみませんか。
