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生体現象をはじめとする超複雑連成シミュレーションへの挑戦

複数の物理が相互作用して生じる現象は「連成現象」と呼ばれ、鳥や昆虫の飛行に見られる流体構造連成などが代表例です。数値シミュレーションは長い歴史を持ち、単一現象の解析は成熟していますが、連成現象の高精度解析は依然として大きな課題です。こうした背景のもと、私は連成現象を高精度かつ高速に解くための手法開発を研究テーマとしています。具体的には、人工弁の開発において問題となる赤血球の壁面衝突現象に着目し、その解明に向けた流体構造接触連成解析手法の開発に取り組んでいます。衝突時に流体領域のトポロジーが変化するため一般的な流体解析手法が適用できないという課題を、CutFEMと呼ばれる界面埋め込み型の手法を用いることで克服しました。また、連成現象は自由度数が膨大となり計算コストが高くなります。そこで、固有直交分解をベースとした低次元モデルの構築についても研究を進めています。

電気・機械工学類|助教

金子 栄樹(カネコ シゲキ)

KANEKO Shigeki

9 産業と技術革新の基盤をつくろう

キーワード

流体構造連成
モデル低次元化
有限要素法
分離型反復解法

担当分野・プログラム

研究区分

情報科学、情報工学
流体工学、熱工学
機械力学、ロボティクス
航空宇宙工学、船舶海洋工学

研究テーマ

  • 赤血球の壁面衝突の現象解明に向けた流体構造接触連成解析法の構築
  • 背景メッシュの変形による境界適合メッシュ生成
  • Space-time法に基づくBlock-Jacobi分離型反復解析手法の開発
  • 流体構造連成解析に対するhyper-reduced-order modeling

メッセージ

スーパーコンピュータ「富岳」に代表されるように、近年の計算機性能は飛躍的に向上し、現実を忠実に再現する超詳細シミュレーションが、実用的な時間内で実行可能になってきました。これにより、試作と実験を繰り返す従来のものづくりは、大きな変革の時代を迎えています。設計案の評価をシミュレーション上で行うことで、実験回数を大幅に削減でき、開発のスピードも飛躍的に高めることが期待されます。さらに将来的には、「一度も実験を行わずに設計を完成させる」いわば実験ゼロのものづくりも現実になるかもしれません。私はこのビジョンの実現を目指し、複雑な現象を高精度に解き明かす解析手法や、計算の高速化手法の開発に取り組んでいます。