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近現代の都市広島をフィールドとする批判的地域史研究

私は歴史研究の立場から、広島をフィールドとする都市社会史研究に取り組み、主に被爆後の戦災都市復興の歴史について検討してきました。都市を、為政者や建築家によるプランの物的反映ではなく、そこに生きる人々の様々な経験や実践によって構成されていくものと考え、多様な資料をもとに被爆地の復興を多角的にとらえながら、「核の廃墟からの再生」という分かりやすい記憶・物語の相対化を試みています。
また、都市広島の近現代史は、原爆投下という破局的で特殊な一点に収斂することはありません。都市は近代化、破壊、復興、クリアランス、リニューアルを経て、現在に開かれ、その変化のなかで記憶のありかた、歴史の語られかたは、たえず揺らいできました。地域の特性を予断をもって描くことにとどまらない、開かれた地域史のための探究方法をとして、「批判的地域史研究」のありかたを模索しています。

基礎類|准教授

西井 麻里奈(ニシイ マリナ)

NISHII Marina

16 平和と公正をすべての人に

キーワード

都市研究
戦争の記憶
地域史
広島研究
戦争被害者援護

担当分野・プログラム

研究区分

歴史学、考古学、博物館学

研究テーマ

  • 戦災復興の都市社会史研究

メッセージ

歴史学は、過去の人間の活動の痕跡を探し、検討し、現代の人々に示す一連の動的な営みです。地味であり、混乱を深める世界のなかでは、問題解決のための即効性をもちません。
しかし、その時々の国家や社会の関心事や優先事項のなかで、抑圧されたり、見過ごされたりしてきた人間の営みの痕跡は、多くが失われながらもなお、残されてきました。それは、現代を生きる私たちが、見ようとし、問いかけることで姿を現し、時に私たちが自明とする現在のありようを揺さぶります。「批判的地域史研究」は、歴史を知識や単語の羅列として、あるいは超越的で一義的な教訓として捉えるのではなく、地域とそこで生きる人間に根差した経験の複雑さのなかで捉えることを意図し、私たちと歴史との間に豊かな関係を繋ぎ直す試みでもあります。