2025年度 学部学位記授与式式辞(2026年3月)
About NITech
大学案内
卒業生の皆さん、そしてご家族、ご来賓の皆さま、本日は名古屋工業大学の学位記授与式にご参列いただき、誠にありがとうございます。
卒業生の皆さん、卒業おめでとうございます。
皆さんが本日この良き日を迎えられたことを、大学を代表して心からお祝い申し上げます。
皆さんが本学での学びを始められた頃は、新型コロナウイルス感染症の影響がなお社会に残る中、私たちが日常を取り戻そうとしていた時期でした。さまざまな制約が残る中で大学生活をスタートさせながらも、対面で学び、語り合い、挑戦する本来の大学生活が、徐々に取り戻されていきました。そのような環境の中で学びをスタートさせ、今日まで歩んでこられたことは、決して当たり前のことではありません。
この数年間、社会は大きく動いてきました。生成AIをはじめとする技術の急速な進展、国際情勢の不確実性、そして日本が直面する人口減少や環境・エネルギー問題。変化のスピードは加速し、多様な要因が絡み合う複雑な課題が、私たちの前に次々と現れています。
このように、多様な要因が絡み合う課題に向き合うためには、表面的な答えに飛びつくのではなく、粘り強く考え抜く姿勢が求められます。研究や技術の世界では、すぐに答えが見つかるとは限りません。むしろ、考えに考え抜き、何度も立ち止まりながら、それでも問い続けていると、ある瞬間、ふと視界が開けるように理解が進むことがあります。そこに至るまでの時間や試行錯誤そのものが、新しい価値を生み出す土台になっていきます。解決できない理由を理屈で並べて立ち止まるのではなく、愚直に考え続けること、挑戦し続けること----その積み重ねが、未来を切り拓いていきます。
工学を学んできた皆さんに求められるのは、専門知識や技術だけではありません。本学での学びを通して身につけてきた大切なことは、どのような課題に直面しても、ひとつの考え方にとらわれることなく、様々な視点から考え、解決への道筋を探ろうとする姿勢です。課題の本質を見極め、自ら考え、AIも含む他者とともに考えながら、新しい価値を生み出していく----その姿勢こそが、これからの社会で皆さんを支えていきます。
名古屋工業大学は「心で工学」を理念に掲げています。工学の力を社会のために役立てるとき、そこには常に人がいます。誰のための技術なのか、社会にどのような影響をもたらすのかを問い続ける姿勢は、技術に携わる者にとって本質的なものです。
皆さんに、わたしから一つお願いがあります。それは、「誠実であれ」ということです。誠実さは、どのような時代においても、人として、そして技術者としての信頼の基盤となります。困難な判断を迫られる場面に出会ったときこそ、このことを思い出してください。
人生100年時代と言われるいま、学びは卒業では終わりません。社会に出てからも、学び直しや挑戦の機会は何度も訪れます。名古屋工業大学は、皆さんにとって、いつでも戻ってくることのできる場所であり、挑戦を支えるプラットフォームであり続けます。どうぞ必要なときには、このキャンパスを思い出してください。
卒業生の皆さんの未来が、希望に満ち、そして社会に確かな価値をもたらすものでありますよう、心よりお祈り申し上げ、わたしの式辞といたします。
本日は誠におめでとうございます。
2026年3月26日
名古屋工業大学長
小畑誠
