Close

2025年度 大学院学位記授与式式辞(2026年3月)

About NITech

大学案内

20260330_sikiji_daigakuin2.JPG

修了生の皆さん、そしてご家族、ご来賓の皆さま、本日は名古屋工業大学大学院の学位記授与式にご参列いただき、誠にありがとうございます。

修了生の皆さん。修了、そして学位取得、誠におめでとうございます。皆さんが本日この節目の日を迎えられたことを、大学を代表して、心よりお祝い申し上げます。

修士課程を修了される皆さんは、本学大学院で高度で専門的な学びと研究に取り組まれてきました。また、博士の学位を取得された皆さんは、長い時間をかけて一つのテーマと向き合い、不確実性の高い問いにいどみ続けてこられました。それぞれの歩みは異なりますが、いずれも強い意思と粘り強さなしには成し得ない成果です。

この数年間、人間の在り方そのものを問い返すところまで進んだ生成AI技術、国際情勢の不確実性、生産年齢人口の減少、そして環境・エネルギー問題など、社会は大きな転換期にあります。大学院で研究に没頭してきた皆さんは、こうした変化のただ中で、自ら問いを立て、考え抜き、答えを形にする経験を積み重ねてきました。

大学院で皆さんが身につけた最も重要なものは、専門知識の深化だけではありません。
自ら問いを立て、その問いに粘り強く向き合い続ける姿勢です。どのような課題に直面しても、単一の視点にとらわれることなく、理論と実証を往復しながら、多様な角度から解決の道を探ろうとする。その思考の習慣こそが、研究者・高度専門職としての皆さんの基盤になります。

近年、研究や技術開発の現場そのものが、大きく変わりつつあります。生成AIをはじめとする新しい技術は、研究の進め方そのものに影響を与え始めています。これからの研究者・技術者には、AIを単なる便利な道具として使うのではなく、思考を深め、可能性を広げる新しい相棒として活かしていく姿勢が求められます。問いを立てるのは人間であり、結果に責任を持つのも人間です。その前提のもとで、AIを含む他者と力をあわせながら、新たな知や価値を生み出していく。その経験は、皆さんの大きな強みとなるでしょう。特に研究の最前線では、答えを早く得ること以上に、問いの質を高め続けることが重要になります。

わたしたち名古屋工業大学は、「心で工学」を理念に掲げています。
高度な専門性をもつ技術者・研究者であるからこそ、技術が社会にもたらす影響や責任の重さを、常に意識し続けなければなりません。誰のための技術なのか。社会にどのような意味を持つのか。それを問い続ける姿勢が、皆さんの専門性をより確かなものにします。

皆さんに、わたしからお願いがあります。
それは、「誠実であれ」ということです。研究においても、社会においても、誠実さは信頼の基盤です。困難な判断や葛藤に直面したときこそ、誠実であることの意味を思い出してください。

そしてもう一つ、大切にしてほしいことがあります。それは、学びに終わりはないということです。修士号や博士号の取得は、学びの完成ではありません。むしろ、新たな学びの出発点にすぎません。どのような時代においても、学び続け、自らを更新し続ける姿勢こそが、新しい挑戦を生み、新たな地平を切り拓いてきました。そしてこれからも、それは変わることはありません。

名古屋工業大学は、皆さんにとって、これからも学びと挑戦を支える拠点であり続けます。
研究、教育、社会実装。いずれの場においても、この大学とのつながりを大切にしてください。

修了生の皆さんの今後の歩みが、社会に確かな価値をもたらし、次の時代を切り拓くものとなることを、心より祈念し、わたしの式辞といたします。

本日は、誠におめでとうございます。

 

2026年3月26日
名古屋工業大学長
小畑誠