Close

人はいつ「考える」のか?批判的思考を駆動する認知メカニズムの解明

私たちは日々多くの情報に触れていますが、時には自分の信じたい情報ばかりを集め、都合の悪い事実を無意識に避けてしまう「心のクセ(認知バイアス)」を持っています。こうした人間の認知の働きが、私たちの判断や行動にどのような影響を与えているのかを、認知科学のアプローチから解明しています。こうした基礎的な知見は、現代社会で深刻化する偽・誤情報への対策にもつながります。たとえば、「なぜ人は間違った情報を信じ続け、訂正記事のクリックすら避けてしまうのか」が理解できれば、災害時のように正確な情報を迅速に届けることが重要な場面で、訂正情報を効果的に伝える方法へと応用できるようになります。人間の認知の仕組みを深く理解し、それを情報技術と融合させることで、単に正しい情報を押し付けるのではなく、人が立ち止まり、自律的に自分の考えを振り返ることができるような「人間中心の情報環境」の設計を目指しています。

基礎類|教授

田中 優子(タナカ ユウコ)

TANAKA Yuko

4 質の高い教育をみんなに
16 平和と公正をすべての人に

キーワード

認知バイアス
意思決定
批判的思考
誤情報
ヒューマン・コンピュータ・インタラクション

担当分野・プログラム

研究区分

心理学

研究テーマ

  • 批判的思考の認知プロセス
  • メディア環境と意思決定
  • 高次認知におけるバイアス

メッセージ

誰もが発信者となれるデジタル社会では、偽・誤情報が瞬く間に広がります。そして、いったん信じられた情報を後から訂正することは、決して容易ではありません。そこには、人の認知の仕組みが深く関わっています。

研究で目指しているのは、人間の「心のクセ」を非難するのではなく、その特性を科学的に理解し、その知見を、誰もが安心して情報と向き合える環境設計へとつなげることです。認知メカニズムに対する基礎的な理解を土台にすることで、自分自身の思考の偏りに気づき、情報を批判的に吟味するという、人々が本来持っている力を支える環境設計に応用することが可能になります。認知科学の知見を社会技術へとつなげ、より健やかなデジタル社会の実現に貢献していきます。