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2024年度 大学院学位記授与式式辞(2025年3月)

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皆さん、ご卒業おめでとうございます。皆さんが本日この場に立つまでの道のりは、決して平坦ではありませんでした。その努力と忍耐、そして希望を持ち続けたことに、心から敬意を表します。また、ここに至るまで皆さんを支えてくださったご家族や友人の皆さまに対し、深く感謝申し上げます。その愛情とご支援があったからこそ、本日この日を迎えることができました。

皆さんが本学で学びを深めている間にも、世界は急速に変化してきました。破壊的なAIの発展、持続可能なエネルギー開発、さらには地球規模の環境問題への対応など、社会は新たな可能性とともに一層の複雑さを増しています。このような時代において、皆さんの専門性や知恵、そして創造力が、社会の未来を形作る重要な力となることは間違いありません。

名古屋工業大学は「心で工学」を理念に掲げています。これは、単に技術者や研究者としての能力を発揮するだけではなく、人間としての誠実さや責任感をもって社会に貢献することを意味しています。工学の力で社会に寄与する際には、どうか常にこの理念を心に留めてください。長年にわたり本学で多くのことを学んできた皆さんに、私が最後にお伝えしたい言葉は、「誠実であれ」ということです。生きていくうえで誠実さに勝る武器はありません。これから先、人生の中で再び大きな試練に直面することがあるかもしれませんが、それを心に留めておいてください。

さて、もうずいぶん昔の話になりますが、後にノーベル物理学賞を受賞された大変高名な理論物理学者に対し、「物理学にはもう研究すべきことは残っていないのではないですか」と不遜にも問いかけた先生がおられました。わたしはその先生から直接お聞きしたのですが、その問いに対し、理論物理学者はこう答えられたそうです。
「いいえ、ようやく最近になって物理学が少しわかりはじめたところです。」

皆さん、学びに終わりはありません。社会に出た後も、常に新しい知識を求め、挑戦し続ける姿勢を忘れないでください。そして、人生100年時代と言われる今、これから先も名古屋工業大学は、いつでも皆さんを応援し、支えるプラットフォームであることを心に留めておいてください。どうぞいつでもこの場所に戻り、次なる挑戦の糧を得ていただきたいと思います。

皆さんの未来が、希望に満ち、光り輝くものでありますよう、心よりお祈り申し上げ、わたしの式辞といたします。

本日は誠におめでとうございます。

 

2025年3月26日
名古屋工業大学長
小畑誠