米国ペプチド学会の公式サイトに水野稔久准教授の最近の研究が紹介されました
Research
研究・産学官連携
2026年4月 7日掲載
生命・応用化学類の水野稔久准教授の、細胞内シグナル分子を標的としたペプチド創薬に関する研究論文「Efficient Inhibition of TGF-β Signaling via Cytosolic Delivery of a Smad2/3-Binding Peptide Using the Cell-Penetrating PG-Surfactant DKDKC12-K5 to Block Smad2/3 Nuclear Translocation」が注目され、ペプチド研究分野における国際的な専門学会である米国ペプチド学会(American Peptide Society)の公式サイトにおいて研究概要が紹介されました。
【掲載ページ】
米国ペプチド学会サイト:https://americanpeptidesociety.org/research/blocking-nuclear-entry/
ホルモンや抗体などの生理活性を有するペプチド・タンパク質は、従来の低分子医薬品に比べてオフターゲットによる副作用が少ない医薬品(第一・第二世代のバイオ医薬品)として実用化されています。一方で、これらは親水性が高く自発的に細胞内へ浸透できないため、現状は主に、細胞外受容体を標的とする用途に限定されてきました。
近年この制約を克服し、細胞内分子を標的とする新たな創薬研究が進展しています。そのためには、細胞内で活性を発揮するペプチド・タンパク質を、細胞内移行を促進する「細胞膜透過キャリア」と複合化し利用する必要があります。しかしこれまでに報告されているものの多くは、単に細胞内への移行効率を高めるにとどまっていました。
本研究では、細胞内移行性に加え、細胞質へ高選択的に局在する新規細胞膜透過キャリアcpPGを開発しました。cpPGを用いてシグナル分子への結合ペプチドを細胞内へ送達することで、当該分子の細胞核移行を抑制できることを実証しました。具体的には、がん細胞の増殖・転移などに関与するTGF-βシグナルを標的としたペプチド阻害剤の開発に成功しました。
本成果は、シグナル分子の核移行制御に基づく新たなペプチド医薬品設計の指針を提示するものであり、関連分野において注目される研究として、米国ペプチド学会の公式サイトを通じて広く紹介されています。
論文情報
<発表雑誌> Bioconjugate Chemistry
<掲載論文> Efficient Inhibition of TGF-β Signaling via Cytosolic Delivery of a Smad2/3-Binding Peptide Using the Cell-Penetrating PG-Surfactant DKDKC12-K5 to Block Smad2/3 Nuclear Translocation
<巻号・ページ> 37, 533-544 (2026)
<URL>https://pubs.acs.org/doi/10.1021/acs.bioconjchem.5c00423
謝辞
本研究は、名古屋市立大学薬学研究科の井上靖道教授、梅澤直樹教授、広島大学の河崎陸准教授、池田篤志教授、さらに本学生命・応用化学類の築地真也教授との共同研究の成果となります。JSPS科研費(JP20K05705)、高橋産業経済研究財団、池谷科学技術振興財団のサポートを受けて実施されました。
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この情報は研究支援課が提供しています。
