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白井研究室の研究論文がNanoscale Advances誌の「Front Cover」に選ばれました。

Research

研究・産学官連携

2024年6月19日掲載


 英国王立化学会が刊行する学術雑誌Nanoscale Advances誌に、白井研究室が発表した研究論文が、その内容が高く評価され「Front Cover」とともに掲載されました。研究表題は、「Role of polyvinylpyrrolidone in the polyol synthesis of platinum nanoparticles」で、ポリオール反応を用いた金属ナノ粒子合成中表面修飾剤における粒子形成への影響の解明に関する内容です。辛韵子特任助教(工学専攻(生命・応用化学領域))、永田拓氏(研究当時:生命・応用化学専攻)、加藤邦彦特任助教(工学専攻(生命・応用化学領域))、徐玉萍特任助教(工学専攻(生命・応用化学領域))、白井孝准教授(工学専攻(生命・応用化学領域))らの研究論文です。

 金属ナノ粒子は特別な化学的・物理的な特性を持つため、エネルギー変換、空気・水質浄化、センサー、医療など幅広い分野での応用が注目されています。金属ナノ粒子の合成手法について様々なプロセスが報告されていますが、多価アルコールを用いた液相ポリオール反応による金属塩の還元法は、最も簡単な手法として広く使われています。多価アルコールは高い双極子を持つため、多種の金属イオン前駆体を溶解することができ、また高い沸点をもつため、沸点より低い温度領域で還元性中間体が形成することにより金属イオンを還元することができます。ポリオール反応中、粒子の凝集防止や、粒子のサイズおよび形状を制御するため、表面修飾剤が同時に使用されます。一般的には無毒性・非イオン性表面修飾剤として、Polyvinylpyrrolidone PVP)を用いた金属ナノ粒子の合成が多く報告されています。本研究では、ポリオール反応により表面修飾剤(PVP)/金属(白金)イオン前駆体の異なるモル比の下で白金ナノ粒子を合成し、異なる溶媒中での白金ナノ粒子のサイズ分布、結晶構造、固相形態、粒子表面に修飾されたPVPの化学状態と熱安定性、反応過程中の白金イオンの還元挙動を詳しく調査することによって、粒子形成およびサイズ制御との関連性を初めて解明しました。

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白井研究室(リンク先)https://shiraigroup.web.nitech.ac.jp/

<発表雑誌>掲載論文のウェブサイト(リンク先)https://pubs.rsc.org/en/content/articlelanding/2024/na/d4na00118d

雑誌名:Nanoscale Advances

タイトル:Role of polyvinylpyrrolidone in the polyol synthesis of platinum nanoparticles

著者:Yunzi Xin, Taku Nagata, Kunihiko Kato, Yuping Xu, and Takashi Shirai *

*責任著者

論文情報:doi.org/10.1039/D4NA00118D

<掲載内容> Front Cover

<発表雑誌> Nanoscale Advances, 6, (2024) 3034-3040


この情報は研究支援課が提供しています。