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白井研究室の研究成果がRSC Mechanochemistry 誌の「Front Cover」に選ばれました

Research

研究・産学官連携

2025年9月 5日掲載


白井研究室が開発したメカノケミカルプロセスによるRGB発光シリコン量子ドットの新規合成法に関する研究論文「Photoluminescence evolution of functional silicon quantum dots assembled via a sustainable mechanochemical process」が高く評価され、英国王立化学会が刊行する新ジャーナル『RSC Mechanochemistry』のFront Coverに選ばれました。

地球の岩石中豊富に存在するシリコン(Si)資源から生まれたSi量子ドットは、安価で無毒性であることに加え、量子閉じ込め効果により粒子サイズに依存する特別な光吸収性および発光性を示すため、次世代固体光源や発光デバイスなどへの応用が注目されています。特に、光の三原色である赤・緑・青(RGB)の発光を自在に制御する技術は、色鮮やかなディスプレイや高機能照明の実現において重要な役割を果たします。本研究では、(HSiO1.5)nポリマーを前駆体として用い、室温でのメカノケミカル法において、異なるサイズの粉砕ボールの組み合わせおよびその割合を精密に制御することで、RGB発光Si量子ドットを選択的に作製することに世界で初めて成功しました。また、反応過程中の物質の構造変化を調査するため、詳細な化学的および物性評価を行い、DEMシミュレーションを用いて衝突エネルギーとその分布を詳しく解析しました。その結果、化学反応を誘起するには一定の閾値を超える衝撃が必要であり、この閾値を超えた有効な衝撃エネルギー(supra-critical impact energyとして定義)が、Si量子ドットの粒子成長と結晶形成を支配する決定的な要因であることが明らかにしました。
本研究で開発した発光性Si量子ドットの新規合成手法は材料化学に関する重要な見知を提供するだけでなく、SDGs達成に貢献する省エネルギーかつグリーンなプロセスの開発や、機能性ナノ材料の創製への新たな展開が期待されます。

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RSC Mechanochemistry誌「Front Cover」

発表雑誌

<発表雑誌>  RSC Mechanochemistry, 2, (2025) 641-652
<掲載論文>  Photoluminescence evolution of functional silicon quantum dots assembled via a sustainable mechanochemical process
<掲載内容>  Front Cover

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