柴田哲男教授が第78回日本化学会賞を受賞しました
Research
研究・産学官連携
2025年12月25日掲載
第78回日本化学会賞
フッ素は、医薬品、農薬、電子材料、さらにはフルオロプラスチックなどの樹脂に至るまで、現代社会を根幹から支える不可欠な元素です。その電気陰性度と熱力学的安定性の高さに由来する炭素-フッ素(C-F)結合の強靭さは、機能性材料の高性能化に大きく寄与してきました。一方で、こうした高い化学的安定性は分解の困難さと環境中への蓄積という新たな問題を生み、深刻な環境リスクとして顕在化しています。
近年、有機フッ素化合物であるPFASに対する規制強化や、地球温暖化係数の高いフロン(HFC)類の段階的廃止に向けた国際的合意が進む中、フッ素資源を単に廃棄するのではなく、「分子変換」によって再資源化・循環利用する革新的技術の確立が喫緊の課題となっています。
柴田教授らの研究室では、有機フッ素化合物の精密合成研究を基盤としながら、その枠を大きく超え、「切断」「変換」「分解」という逆転の発想に基づく新たな研究領域を切り拓いてきました。特に、C-F結合の本質的制御に挑み、フッ素を「機能性元素」から「循環可能な資源」へと転換するという未踏課題に取り組み、"循環型分子変換技術"という新たな学術体系を確立しました。
これらの業績が評価を受け、柴田教授は第78回日本化学会賞を受賞しました。
市之瀬敏勝名誉教授が米国コンクリート学会最優秀論文賞を受賞しました
この情報は研究支援課が提供しています。
