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井上圭一准教授・神取秀樹教授の論文がJ. Biol. Chem.誌のHighlights of 2016に選ばれました

2017年04月25日掲載


J. Biol. Chem.誌は1905年に創刊された生化学・生命科学分野を代表する雑誌であり、数々の歴史的な論文が発表されたことで知られています。毎年、23分野からハイライトとなる論文を各1報、選出していますが、生体エネルギー(Bioenergetics)分野において、井上圭一准教授・神取秀樹教授の論文が2016年のハイライト論文に選ばれました。2016年、J. Biol. Chem.誌には合わせて2377報の論文が掲載されましたが、ハイライト論文は全体の1 %以下であり、日本人の論文は他にありませんでした。

神取教授らは1995年にわずか1個のアミノ酸変異により、光駆動プロトンポンプをクロライドポンプに機能転換することに成功しました(Sasaki et al. Science 1995)。長い間、光駆動イオンポンプロドプシンとしては、古細菌のプロトンポンプとクロライドポンプしか存在しないと思われていましたが、真正細菌からプロトンポンプやクロライドポンプが見つかったのに加えて、ナトリウムポンプの存在が明らかになりました(Inoue et al. Nat. Commun. 2013)。井上准教授・神取教授らは発見後も精力的に研究を推進し、ナトリウムポンプのメカニズム解明や機能創成を達成する一方(Inoue et al. Angew. Chem. Int. Ed. 2015; Kato et al. Nature 2015; Konno et al. J. Phys. Chem. Lett. 2016)、本研究では真正細菌における光駆動イオンポンプの機能転換に挑みました。

プロトンポンプとクロライドポンプだけであれば2通りの機能転換になりますが、ナトリウムポンプが加わったことにより6通りの機能転換が考えられます。井上准教授と院生の野村祐梨香さんは120種類にも及ぶ変異体を次々に作製し、その機能を測定しました。その結果、わずかな変異により、3通りの機能転換に成功しました(Na+ → H+, Na+ → Cl-, Cl- → H+ )。ところが、逆方向の変異は数を増やしても実現せず、対になる機能転換のいずれもが非対称になることがわかりました。3種類のポンプにおける進化の系統樹を作成したところ、興味深いことに、進化を遡る機能転換は実現したものの、進化の方向に沿った機能転換は達成できない、という相関が得られました。詳細は昨年、3月の本学ホームページ記事をご覧ください。

ホームページ記事 (2016年3月11日掲載)

J. Biol. Chem. Highlights of 2016

K. Inoue, Y. Nomura and H. Kandori*, "Asymmetric functional conversion of eubacterial light-driven ion pumps" J. Biol. Chem. 291, 9883-9893 (2016).


この情報は研究支援課が提供しています。

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