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柴田研究室の抗線虫活性のフッ素化アナログ化合物の合成研究が、Organic Chemistry FrontiersのInside Cover Picture に掲載されました

2017年09月19日掲載


天然物CJ-12662およびCJ-12663は、1991年にPfizer社がAspergills Fischeriの変異株から単離構造決定したアルカロイドです。トリプトファンから生合成されたと推測されるPyrrolobenzoxazine骨格と、二環性テルペンが縮合した複雑な化学構造を持ち、興味深い抗線虫活性を有します。その後も天然からいくつかの類縁体が見つかり、また全合成研究も報告されています。我々のグループでは、2001年にトリプトファンから誘導されるジケトピペラジン型アルカロイドGypsetin、 およびBrevianamide Eの水酸基(OH)をフッ素(F)で置き換えたフルオロアナログの合成に成功しています。今回、本手法を拡張して、CJ-12663のPyrrolobenzoxazine骨格にある3級水酸基をフッ素に置き換えた、CJ-12663フルオロアナログの合成に着手することとしました。フッ素原子の電気陰性度は4.0、酸素は3.5であり、ファンデルワールス半径はそれぞれ1.47Åと1.52Åであることから、フッ素は水酸基の等価体として考えることが出来ます。さらに水酸基をフッ素で置換すると、脂溶性や安定性を増大させることが知られており、そのフッ素イソスターの生物活性に興味が持たれます。
L-トリプトファン誘導体に対し、1-フルオロ-2,4,6-トリメチルピリジニウム塩 (FP-T300) を用いてフッ素-環化反応を行い、目的のアミナールをジアステレオ選択的に得ることに成功しました。このアミナールに対し、m-CPBAを作用させ、Meisenheimer型転位反応によりPyrrolobemzoxanize骨格の構築に成功しました。さらに、Boc基を酸処理によって脱保護を行い、Fluoro-pyrrolobenzoxazineの合成を達成しました。

Org. Chem. Front. synthesis.jpg  Org. Chem. Front. cover.jpg

柴田研究室

<掲載論文>

<inside cover picture> 

Organic Chemistry Frontiers(01 September 2017, Issue 9)に掲載されましたカバーアートは、線虫活性薬として期待される天然物アルカロイドフッ素疑似物質の分子化学構造を、星座にイメージして図にしたものです。

<発表雑誌>
雑誌名 :Organic Chemistry Frontiers
タイトル:Diastereoselective synthesis of fluoroisosteric analogues of antiparasitic

     pyrrolobenzoxazine alkaloids from tryptophan by successive fluorination-cyclization

     and a Meisenheimer-type rearrangement
著者  :Das, B.; Tokunaga, E.; Harada, K.; Sumii, Y.; Shibata, N.
論文情報:Org. Chem. Front. 2017, 4, 1726-1730.
     DOI: 10.1039/C7QO00234C





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