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柴田研究室の研究成果が,Chemical Science 誌の表紙「Cover Picture」に掲載されました。

Research

研究・産学官連携

2018年4月 4日掲載


研究論文「Access to benzo-fused nine-memberedheterocyclic alkenes with a trifluoromethyl carbinol moiety via a double decarboxylative formal ring-expansion process under palladiumcatalysis」が高く評価され,英国化学会Chemical Science 20184月号 (07 April 2018, Issue 13) の表紙を飾りました。

フッ素原子は全原子中最大の電気陰性度を有する原子であり,フッ素原子を1つ化合物に導入するだけで,電気的特性や脂溶性など様々な特性を変化させることが知られています。特に含フッ素ヘテロ環化合物は医農薬品の候補化合物として注目度が高く,世界中のフッ素化学者が標的とする化合物です。しかし,従来の合成研究の多くは,5員環,6員環の含フッ素ヘテロ環の合成に限られており,8-10員環である中員環の合成は極めて困難でありました。

今回柴田らは,合成容易なトリフルオロメチル基(CF3)基を有する6員環化合物から,パラジウム触媒を用いた2度の脱炭酸を経由した[54]環化付加による環拡大反応によって,トリフルオロメチル基を有するヘテロ9員環の合成法の開発に成功しました。柴田らは反応を詳細に解析し,反応の進行にCF3基が必須であることを明らかにし,反応中間体の推定も行っています。

含フッ素官能基の中でもトリフルオロメチル(CF3)基は医・農薬品において特に重要とされている構造です。今回開発した方法で得られるCF3が置換した9員環化合物は,抗HIV薬などの様々な医薬品にも含まれているCF3 carbinol構造を有しているため,生理活性物質としての応用も期待されます。


柴田研究室

〈掲載論文〉

〈Cover Picture〉

《発表雑誌》
雑誌名  : Chemical Science
タイトル : Access to benzo-fused nine-membered heterocyclic alkenes with a
       trifluoromethyl carbinol moiety via a double decarboxylative
       formal ring-expansion process under palladium catalysis
著者   : Pulakesh Das, Satoshi Gondo, Punna Nagender, Hiroto Uno,
       Etsuko Tokunaga and Norio Shibata
論文情報 : DOI: 10.1039/c7sc05447e


この情報は研究支援課が提供しています。