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柴田研究室の研究成果が,Scientific Reports誌に掲載されました。

Research

研究・産学官連携

2020年1月 7日掲載


 研究論文「Selective synthesis of spirobiindanes, alkenyl chlorides, and monofluoroalkenes from unactivated gem-difluoroalkanes controlled by aluminum-based Lewis acids」が,Scientific Reports誌に掲載されました (図1)。Scientific Reports誌は、Natureをはじめ90誌以上のジャーナルを管理するnature.comで管理される,自然科学 (生物学、化学、物理学、地球科学)のあらゆる領域を対象としたオープンアクセスの電子ジャーナルです。

 有機フッ素化合物は,私たちの身の回りに数多く存在しています。例えば医農薬品のおよそ3割が有機フッ素化合物です。また,テフロン製品や液晶テレビなど機能性材料としても有機フッ素化合物は利用されており,今や含フッ素製品は私たちの生活に欠かせないものです。そのため,現在も含フッ素化合物の開発が盛んに行われています。一方で、多様な有機フッ素化合物が利用可能であることに着目した,有機フッ素化合物を原料に用いたものづくり研究が活発に行われています。
有機フッ素化合物の変換は,炭素―フッ素結合を切断して変換する手法が用いられます。しかし炭素―フッ素結合は、炭素が作る単結合の中で最も強固であり、炭素―フッ素結合の切断には高エネルギーを必用とするなど,望みの反応を制御することが困難でありました。

 今回、アルミニウムとフッ素との高い親和性に着目し,安価で低毒性なアルミニウム試薬を用いることで,1つの炭素に2つのフッ素をもつ化合物の炭素―フッ素結合を穏和な条件で切断して,分子変換を行うことに成功しました。また,ルイス酸性の異なるアルミニウム試薬を使うことで、同じ原料から、3種の化合物をつくり分けることが可能であり,2つの環をもつスピロビインダン生成物、塩素に交換された塩化ビニル、1つのフッ素が選択的に切断されたモノフルオロアルケン生成物を選択的に合成できます (図2)。

本研究成果によって,有機フッ素化合物の応用がより一層進展することが期待されます。

柴田研究室

<掲載誌> Scientific Reports
     

(図1)                                           

図1.png

(図2)

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この情報は研究支援課が提供しています。