柴田研究室の研究成果が,ACS Catalysis 誌(IF: 12.2) に掲載されました。
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2020年2月27日掲載
研究論文「Synthesis of Highly Functionalized 12-Membered Trifluoromethyl Heterocycles via a Nondecarboxylative Pd-Catalyzed [6 + 6] Annulation」が高く評価され,ACS Catalysis 誌に掲載されました(図1)。
ACS Catalysis誌はアメリカ化学会が出版する,触媒化学のあらゆる領域を対象としたジャーナルであり,2018年のインパクトファクターは12.2と高い注目度を集めています。
フッ素原子は特異的な性質を有する原子であり,フッ素原子を1つ化合物に導入するだけで,電気的特性や脂溶性など様々な特性を変化させることが知られています。特に含フッ素複素環化合物は注目度が高く,これまでに多くの化合物が医・農薬品として登録されています。しかし,従来の合成研究の多くは,5員環,6員環の合成に限られており,熱力学的に不利な8員環以上のサイズの複素環合成は極めて困難でありました。
今回,トリフルオロメチル基(CF₃)基を有する合成容易な6員環化合物に対して,パラジウム触媒を用いた[6+6]環化付加による環拡大反応を起こすことで,CF₃基を有する複素12員環 を合成する手法を開発することに成功しました(図2)。
反応を詳細に解析したところ,本反応の進行には,CF₃基が大きな影響を与えていることを明らかにしただけでなく,想定反応中間体をもとに反応機構を推定しました。
含フッ素官能基の中でもCF₃基は医・農薬品開発において特に重要とされている構造です。CF₃-複素12員環はこれまで合成例がない新規構造であり,CF₃基の特長と,大員環を併せ持つため,特異な生物活性が期待されます。
本研究成果をもとに,さらなる応用が期待されます。
<掲載誌> ACS Catalysis
著 者:Hiroto Uno, Takanori Imai, Kyosuke Harada, and Norio Shibata
論文情報:DOI: 10.1021/acscatal.9b05377
(図1)
(図2)
この情報は研究支援課が提供しています。
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