国立大学法人名古屋工業大学

文字サイズ
検索

産学官連携・研究

ホーム > 産学官連携・研究 > 名工大研究活動ニュース一覧 > 柴田研究室の研究成果がiScience 誌に掲載されました。

柴田研究室の研究成果がiScience 誌に掲載されました。

2020年04月07日掲載


 研究論文「Two catalytic annulation modes via Cu-allenylidenes with sulfur ylides that are dominated by the presence or absence of trifluoromethyl substituents」が,iScience誌に掲載されました。iScience誌は,生命,物理,地球科学の基礎と応用研究に関する学術的なオープンアクセス誌で,マサチューセッツ州ケンブリッジにある出版社Cell Pressが発行しています。出版社Cell Press主に生物学や医学関連の出版を扱い,Cell, Cell Reports, Neuron, Chem誌等の重要な論文を刊行しています。
 さて,遷移金属触媒を用いる環化反応は,多環性含窒素複素環を構築する方法として,広範囲に検討されています。とりわけ,ベンゼン縮環型のインドール環やインドリン環は,医薬品や天然物の化学構造中に多く見られるため,それらの効率の良い合成手法の開発が求められています。今回,柴田研究室は4-プロパジルベンゾキサジナノンと硫黄イリドを銅触媒の存在下で処理することによって,脱炭酸を伴った環化反応が起こり,2種類の異なる複素環が得られることを見出しました(図1)。興味深いことに,原料にメチル基を持つ4-メチル-4-プロパジルベンゾキサジナノンの場合には,3位にメチル基を持つ光学活性インドリンが高収率,高光学純度で得られるのに対し,原料にトリフルオロメチル基を持つ4-トリフルオロメチル-4-プロパジルベンゾキサジナノンの場合には,予想されたインドリンではなく,3位にトリフルオロメチル基を持つ2-置換型インドールが高収率で得られることがわかりました。これは,反応中間体であるCu-allenylideneの安定性がフッ素の有無により,求核種である硫黄イリドとの反応位置をγ位からα位へと変化させたことによるものです。Cu-allenylidene中間体におけるα/γ攻撃の制御はこの分野の困難な課題であり,柴田らの研究結果は,数ある報告の中でも初めての例であります。得られた化合物,特にトリフルオロメチル基を持つ含フッ素インドール類は生理活性発現に関わるおける重要構造であり,医農薬開発に拍車がかかると期待されます。

柴田研究室

<掲載誌> iScience

      タイトル:Two Catalytic Annulation Modes via Cu-Allenylidenes with Sulfur Ylides that Are            Dominated by the Presence or Absence of Trifluoromethyl Substituents

      著  者:Malla Reddy Gannarapu, Jun Zhou, Bingyao Jiang and Norio Shibata

      論文情報:Volume 23, ISSUE 4, 100994, April 24, 2020
           

      

     (図1)

      GA_iScience_200306.jpg

                                            


この情報は研究支援課が提供しています。

ページトップへ