工学専攻の犬飼紫乃さん、水野陽介さん、水野萌香さんが第9回日本生物物理学会学生発表賞、IUPAB奈良記念学生発表賞を受賞しました
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学生生活
2025年11月11日掲載
受賞名・受賞者
・第9回日本生物物理学会学生発表賞
工学専攻 博士後期課程 犬飼紫乃
工学専攻 博士後期課程 水野陽介
工学専攻 博士前期課程 生命・物質化学プログラム 水野萌香
・IUPAB奈良記念学生発表賞
工学専攻 博士後期課程 犬飼紫乃
受賞の内容
犬飼紫乃「クラゲロドプシンにおける特異な構造変化が示すGsタンパク質活性化の作用メカニズム」
クラゲロドプシンは、ハコクラゲの目に存在する光受容膜タンパク質で、既知の動物ロドプシンとは異なるユニークな位置にカウンターイオンをもち、さらにGsタンパク質を活性化するという特異な性質を示します。本研究では、各種分光法を駆使して、クラゲロドプシンの光反応過程におけるルミ中間体形成に伴う構造変化を捉え、カウンターイオン位置やGタンパク質活性化能の異なるロドプシン3種(クラゲ・ウシ・クモ)での比較解析を通じて、クラゲロドプシンに特有のGsタンパク質活性化メカニズムの一端を明らかにしました。
水野陽介「紫外光吸収型色覚視物質の構造的洞察」
私たち人間は紫外線を見ることはできませんが、マウスなどの動物は紫外線を見ることができます。この視覚を担うのが、人間では青視物質、マウスでは紫外視物質と呼ばれるタンパク質で、両者は非常によく似ています。しかしながら、どのようにして異なる感受性が生まれるか、その要因は明らかになっていませんでした。本研究では、赤外分光法を用いて紫外視物質の構造情報を取得することに成功し、紫外光を感受するための構造的な要因の一端を明らかにしました。

水野萌香「M2およびM4ムスカリン受容体のサブタイプ選択的活性化に関する赤外分光解析」
ムスカリン性アセチルコリン受容体M4Rは、脳内で学習や記憶などに関わり、精神・神経疾患の創薬標的として注目されています。本研究では、全反射赤外分光法(ATR-FTIR)を用いて、M4Rが薬剤結合時に示す構造変化を分子レベルで捉えました。さらに、主に心臓で機能する近縁のM2Rと比較した結果、同じ薬剤が結合しても両者で異なる構造変化が起こることを発見しました。これは、サブタイプごとに異なる活性化機構の存在を示唆するものであり、M4Rを選択的に標的とする副作用の少ない薬剤開発の基盤となることが期待されます。

受賞者のコメント
犬飼紫乃さん
この度は、学生発表賞ならびにIUPAB奈良記念学生発表賞という栄誉ある賞をいただき、大変光栄に思います。熱心にご指導くださる片山准教授をはじめ、研究室のメンバー、そしてすべての関係者の皆様に心より感謝申し上げます。今後も、動物ロドプシンの多様性と進化につながる構造的基盤の解明を目指し、より一層邁進してまいります。
水野陽介さん
この度はこのような賞を賜り大変光栄に存じます。本成果は、指導教員をはじめ研究室の皆様のお力添えによって得られたものです。ここに深く感謝申し上げます。今後も本研究をより一層発展させられるよう力を尽くしていきます。
水野萌香さん
この度は、このような賞をいただき、大変光栄に存じます。日頃よりご指導いただいている片山先生をはじめ、ともに研究に取り組む研究室の皆様、そして支えてくださった多くの方々に心より感謝申し上げます。本受賞を励みに、中枢神経疾患の新薬開発に資する成果を積み重ねられるよう、今後も一層研究に邁進してまいります。


