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水野稔久准教授の研究成果がChemical Communications 誌の「Front Cover」に選ばれました

Research

研究・産学官連携

2026年3月23日掲載


生命・応用化学類の水野稔久准教授のカリウムイオンの蛍光センシングに関する研究論文「Potassium ion fluorescent sensing in chemically stimulated mammalian cells using a GINKO2-encapsulated sensor fibremat」が高く評価され、英国王立化学会が刊行する国際学術誌『Chemical Communications』のFront Coverに選ばれました。

血液など夾雑物の多い生体サンプルから、大型装置や前処理を必要とせず「その場で」特定の生体分子を定量する技術への関心が高まっています。これは、患者自身がAIを用いて健康状態を診断する診断チップの基盤技術として期待されているためです。この実現には蛋白質の高い分子識別能の活用が不可欠ですが、蛋白質は外部環境変化に脆弱であり、長期安定利用には保護技術との組み合わせが重要です。そこで我々は、水和ゲルを形成する樹脂と疎水性樹脂からなる不織布ナノ繊維内部に、蛋白質を変性させず固定化する独自技術を開発しました。本ナノ繊維は低分子物質に高い透過性を示しつつ、蛋白質の漏出を防ぐ特性を有します。

本研究ではこの特性を活かし、カリウムイオンセンサー蛋白質GINKO2を内包固定化した不織布を作製しました。その結果、選択性や蛍光応答性を維持したまま培地中のカリウムイオンを定量検出できました。さらに本不織布は、この上でHeLa細胞やA549細胞の接着培養が可能であり、薬物処理に伴うイオン分泌の経時変化を観察した結果、カリウムイオンのリアルタイム検出に成功しました。本成果はセンサー蛋白質の固定化によるセンサー不織布の開発例としては、世界的にも我々が以前に報告している乳酸センサー不織布(RSC Advances 23, 29584-29593 (2023))に続く2例目であり、生体系で利用可能なセンサープラットフォームとして、我々の開発を行う不織布材料の有効性を示す成果となります。

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『Chemical Communications』は、化学分野における国際的な学術誌の一つであり、特に注目度の高い論文がFront Coverとして紹介されます。今回の選出は、本研究の新規性と学術的意義が高く評価されたことを示すものです。

論文情報

<発表雑誌> Chemical Communications
<巻号・ページ> 62, 5651-5654 (2026)
<掲載論文> Potassium ion fluorescent sensing in chemically stimulated mammalian cells using a GINKO2-encapsulated sensor fibremat
<掲載内容> Front Cover
<URL>https://pubs.rsc.org/en/Content/ArticleLanding/2026/CC/D5CC05871F

謝辞

本研究は、工学専攻生命・物質化学プログラムの佐古杏純さん(修士2年)が中心となって取り組んだ成果です。また、本学生命・応用化学類の小幡亜希子准教授、台湾Academia Sinicaの那須雄介教授との共同研究の成果でもあります。さらに、住友財団基礎科学研究助成、JSPS科研費 JP24K15745の助成を受けて実施されました。

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この情報は研究支援課が提供しています。