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柴田研究室の研究成果が,Nature Communications 誌に掲載されました。

2018年07月31日掲載


研究論文「A small-molecule inhibitor of SOD1-Derlin-1 interaction ameliorates pathology in an ALS mouse model」が,Nature Communications 誌に掲載されました。Nature Communications 誌は,生物学,物理学,化学および地球科学のあらゆる領域における高品質な研究を出版するオープンアクセスジャーナルであり,特定の科学分野でかなりの注目を集める研究の進展であることが期待された論文が掲載されます。

筋萎縮性側索硬化症 (ASL)は,難病の一つに指定されている神経変性疾患で,運動ニューロンの変性が起きる疾患です。ALSがなぜ起こるのか原因が分かっていないため,現在,有効な治療法がほとんどありません。ALSの中でも,遺伝的要因が関与する家族性筋萎縮性側索硬化症 (家族性ALS) と呼ばれる患者さんではCu, Zn superoxide dismutase (SOD1) と呼ばれる遺伝子に変異を起こすことが知られています(変異型SOD1)。東京大学の一條らは,この研究について長年取り組んでおり,変異型SOD1が神経毒性を発揮することや,変異型SOD1Derlin-1と結合し,変異型SOD1Derlin-1の結合を阻害すると運動ニューロンの損傷を防ぐなど様々な知見を明らかにしてきました。これらのことから,変異型SOD1Derlin-1の結合を阻害する化合物が,新規ALS治療薬となる可能性がわかってきました。

今回私たちは,東京大学の一條 秀憲(責任著者)らを中心とする共同研究グループ(名古屋市立大学,名古屋大学,京都大学,理化学研究所)に参加し,薬効を示す有機分子の化学構造展開を有機合成化学の側面から着手いたしました。合成したそれぞれの有機分子の活性評価のフィードバックを繰り返し,最適構造を絞り込みました。得られた最も活性の高い化合物は,SOD1とDerlin-1の結合を阻害することが明らかとなりました。本研究の成果から,SOD1とDerlin-1のタンパク質間相互作用を阻害する化合物が新たな創薬ターゲットとなり,新規ASL治療薬の開発が大きく進展することが期待されます。なお,この研究は創薬等支援技術基盤プラットフォームをはじめとするいくつかの公的資金の支援を得て行いました。

柴田研究室

<掲載論文> Nature Communications

<発表雑誌>
雑誌名 :Nature Communications
タイトル:A small-molecule inhibitor of SOD1-Derlin-1 interaction ameliorates pathology in an ALS mouse model
著  者:Naomi Tsuburaya, Kengo Homma, Tsunehiko Higuchi, Andrii Balia, Hiroyuki Yamakoshi,
     Norio Shibata, Seiichi Nakamura, Hidehiko Nakagawa, Shin-ichi Ikeda, Naoki Umezawa,
     Nobuki Kato, Satoshi Yokoshima, Masatoshi Shibuya, Manabu Shimonishi, Hirotatsu Kojima,
     Takayoshi Okabe, Tetsuo Nagano, Isao Naguro, Keiko Imamura, Haruhisa Inoue,
     Takao Fujisawa & Hidenori Ichijo

論文情報: DOI: 10.1038/s41467-018-05127-2


この情報は研究支援課が提供しています。

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