水野 稔久准教授と生命・応用化学専攻博士前期課程2年木村亮介君の研究成果が、アメリカ化学会の学術誌「Bioconjugate Chemistry」のFront Coverに採用されました。
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- 水野 稔久准教授と生命・応用化学専攻博士前期課程2年木村亮介君の研究成果が、アメリカ化学会の学術誌「Bioconjugate Chemistry」のFront Coverに採用されました。
2018年11月13日掲載
(研究課題)
「リポペプチドベースの新規抗菌薬の開発」
(研究内容)
抗菌薬(一般に、化学合成されたものは抗菌試薬、天然物由来のものは抗生物質と呼ばれる)の開発はイタチごっこな面があり、優れた新規抗菌薬の開発が成されても、遺伝子変異等によってしばらくするとこれに耐性を持つ薬剤耐性菌が出現してしまう。これにより抗菌薬として使える新たな薬剤シーズが枯渇してきていることが、現在大きな問題となっている。これに対し本研究では、これまでに全く報告例のない新規の分子骨格を持つ抗菌薬の開発を、2本のアルキル鎖を持つジェミニ型リポペプチド誘導体の中から開発することに成功した。興味深い点として、アルキル鎖を持つリポペプチドも含め、一般に両親媒性を持つカチオン性化合物は「細胞膜に障害を与える」ことで抗菌活性を持つことが知られているが、同時に血中の赤血球膜も破壊してしまうため、実用性に大きな問題があった。しかし今回本研究で見出された新規抗菌薬は、高い抗菌活性を持ちつつ、同時に赤血球膜を破壊しないことが明らかとなり、生体への投与可能な新規薬剤シーズとしての利用が期待される。この「高い抗菌活性」と「低い溶血活性」を併せ持つ天然由来のリポペプチド系抗菌薬として、ダプトマイシンという分子が現在臨床認可されているが、化学合成により得られた非天然のリポペプチドで達成された例としては、世界初のものとなる。更にダプトマイシンと比較し分子構造が非常に単純で誘導体化が容易であるため、天然由来のリポペプチド系抗菌薬で実質的にできなかった、誘導体化に基づく機能向上、選択性の付与なども今後期待される。
今回発見された抗菌薬の新規性が高く評価され、アメリカ化学会の学術誌「Bioconjugate Chemistry」2018年12月号のFront Coverにこの研究に関するイラストが掲載されることが決まった。またこの研究は、山村初雄教授、宮川淳助教の協力によるものである。
<掲載論文> Bioconjugate Chemistry (ACS Journal)
この情報は研究支援課が提供しています。
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