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柴田研究室の研究成果が,iScience誌に掲載されました。

Research

研究・産学官連携

2019年7月19日掲載


研究論文「Activation of Saturated Fluorocarbons to Synthesize Spirobiindanes, Monofluoroalkenes, and Indane Derivatives」が,iScience誌に掲載されました (図1)。iScience誌は,生命,物理,地球科学の基礎と応用研究に関する学術的なオープンアクセス誌で,マサチューセッツ州ケンブリッジにある出版社Cell Pressが発行しています。出版社Cell Press主に生物学や医学関連の出版を扱い、Cellや Neuron誌等を重要な論文を刊行しています。

 含フッ素化合物は医農薬品,テフロン製品,液晶テレビなど,私たちの身の回りの製品に多く使われています.そのため,炭素にフッ素を導入する研究が盛んに行われています。一方で,身の周りにある有機フッ素化合物に着目し,有機フッ素化合物に対して新たな分子変換を行うものづくり研究が行われています。しかしながら炭素―フッ素結合は非常に安定であるため,炭素―フッ素結合を切断して分子変換を行うことは容易ではありません。特に,脂肪鎖が結合した不活性な炭素(sp3)―フッ素結合は,反応性が低いため困難とされてきました。

 今回柴田らは,ホウ素触媒を用い,フッ素とホウ素の高い親和性を利用することで,穏和な条件の下,1つの炭素に2つのフッ素をもつ化合物の炭素―フッ素結合を切断して,2つの環をもつスピロビインダン生成物を合成するという全く新しい分子変換技術の開発に成功しました (図2)。また,反応溶媒を変えるだけで,2つのうち1つのフッ素を選択的に切断することが可能であることを見出しました。さらに,炭素にフッ素を1つ持つ化合物からも炭素―フッ素結合を切断することが可能であり,一つの環をもつインダン誘導体を合成することにも成功しました。

本研究成果によって,含フッ素化合物の応用がより一層進展することが期待されます。

柴田研究室

<掲載誌> iScience
      Activation of Saturated Fluorocarbons to Synthesize Spirobiindanes, Monofluoroalkenes,
       and Indane Derivatives, Wang, J.; Ogawa, Y.; Shibata,N.* iScience 2019, 17, 132-143.
       DOI: 10.1016/j.isci.2019.06.018

(図1)                                            

(図2)


この情報は研究支援課が提供しています。