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白井研究室の研究成果がJournal of Materials Chemistry C誌の「Front Cover」に選ばれました。

2022年09月27日掲載


白井研究室の開発したメカノケミカル局所反応場を利用し、(HSiO1.5)nポリマーを出発原料とした機能性Siナノ粒子の合成に関する研究論文「A novel sustainable and green mechanochemical route from a (HSiO1.5)n polymer to emissive silicon nanocrystals」の内容が高く評価され、英国王立化学会が刊行する学術雑誌Journal of Materials Chemistry C誌(Impact Factor: 8.067)のFront Coverに選ばれました。

地球の岩石中豊富に存在しているケイ素資源から生まれたSiナノ粒子は、安価、無毒性であり、量子閉じ込め効果により粒子サイズに依存する特別な光吸収性および発光性を持つため、機能性半導体ナノ粒子として次世代発光デバイスや光電変換などへの応用が期待されています。(HSiO1.5)nポリマーは安価、合成しやすいなど特徴を持つ無機材料であり、近年Siナノ粒子の前駆体として多く利用されています。しかし、従来のSiナノ粒子の合成プロセスでは、1100度以上の高温や長時間での水素供給が必要などの問題点がありました。

本研究では、室温での遊星型ボールミルを用いて、(HSiO1.5)nポリマーに機械的なエネルギーを加えることにより、Siナノ粒子・SiO2マトリクスが形成する新たなメカノケミカル反応経路を見出しました。さらに、異なるメカノケミカル条件で処理された (HSiO1.5)nの固体成分を詳細な化学構造解析、気体生成物の定性定量分析を行うことにより、詳細な反応原理を解明しました。メカノケミカル処理下において、(HSiO1.5)n分子の中のSiH結合が解離することにより水素が生成し、生成された水素は反応容器中で還元雰囲気としてSiラジカルの生成およびSi-O-Si結合の再配列を促進し、水素供給が不要なプロセスを実現することに成功しました。また、メカノケミカル処理条件におけるボールのサイズおよび処理時間を調整することで、Siナノ粒子のサイズを簡単に制御することを可能にしました。さらに、SiO2マトリクスを化学エッチングすることにより、炭化水素により表面修飾されたSiナノ粒子を選択的に抽出し、極性溶媒に良分散できる発光性Siナノ粒子の合成にも成功しました。合成されたSiナノ粒子は可視光領域での発光性および優れた発光効率を示し、今後、固体光源や溶液塗布法で作製できる次世代発光デバイスへの応用が期待できます。

白井研表紙_差し替え版.png

白井研究室

<掲載論文> A novel sustainable and green mechanochemical route from a (HSiO1.5)n polymer to emissive silicon nanocrystals

<掲載内容>  Front Cover

<発表雑誌>  Journal of Materials Chemistry C, 10, (2022) 12588


この情報は研究支援課が提供しています。

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