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名古屋工業大学とフォーカスシステムズ、指向性アンテナの共同研究を開始-3倍を超える通信距離で広がるビーコンの利用可能性-

カテゴリ:プレスリリース|2018年01月12日掲載


 国立大学法人名古屋工業大学(愛知県名古屋市、学長:鵜飼裕之)と株式会社フォーカスシステムズ(東京都品川区、代表取締役社長:森啓一)は、指向性アンテナ機構を搭載したBLE送信機(ビーコン)と受信機の開発を目的として、Bluetoothで利用可能な指向性アンテナ機構の共同研究を開始しました。

一般的なスマートフォンやタブレット端末、ノートPCに搭載されているBluetoothアンテナは全方位からの電波を送受信しており電波の発信元の方位を特定することは想定されていません。これらの機器では、電波の発信源が一定の半径内(数メートルから30メートル程度)のエリアにあることは判別できますが、正確な位置を割り出すことは困難です。

一般的なビーコン製品においては全方位に電波が出力されていますが、本共同研究により、指向性アンテナ機構をBLE送信機(ビーコン)と受信機に搭載することで、意図的な方向への電波出力(送信)を可能とし、特定の情報を特定のエリアにある受信機へ送信することができるようになります。
また、人が一般的なビーコンを身に着けた状態では、人体が悪影響を及ぼすため、電波発信能力が著しく劣ってしまいますが、本共同研究では、人体を含めたアンテナと送信回路とのインピーダンスマッチングを考慮した設計開発をすることで、ビーコンを身に着けた状態において、一般的なビーコンの3倍以上の電波発信能力を発揮するビーコンの実用化を目指します。その結果、探知・探索のための機能も飛躍的に向上します。

 従来の方式と本共同研究により指向性アンテナ機構を実装した方式の位置推定の相違について、下記に示します。

従来

180112-1.png発信側は全方位に電波を発信し、受信側は全方位から電波を受信するように設計されているため、発信源の特定が困難

発信側に指向性アンテナ機構を搭載した場合

180112-2.png受信側は全方位から電波を受信するが、発信側が特定方向に電波を発信することで、発信源の位置推定が可能

受信側に指向性アンテナ機構を搭載した場合

180112-3.png発信側は全方位に電波を発信するが、受信側が特定方向からくる電波のみ受信することで、発信源の位置推定が可能

受発信双方に指向性アンテナ機構を搭載した場合

180112-4.png発信側は特定方向に電波を発信し、受信側も特定方向からくる電波のみ受信し、発信側、受信側の電波方位が一致した位置を特定するため、より正確な位置推定が可能

  

本研究の結果開発されたアンテナ機構の実用化により、以下のような場面で活用することが可能です。

想定される利用シーン1 <要介護者の見守り・捜索>

180112-5.png

想定される利用シーン2 <展示物 ガイダンス自動再生>

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想定される利用シーン3 <GPS不要な経路案内システム>

180112-7.png

名古屋工業大学名誉教授 岩田彰のコメント

BLE(Bluetooth Low Energy)通信は低消費電力を特徴とした通信手段であり、ビーコンの小型・長寿命を実現することができます。しかしながら、一般的ビーコンを人が携行する場合、本来の電波エネルギーの3分の1程度しか発信できません。
本共同研究では、人体を含めたアンテナと送信回路とのインピーダンスマッチングを考慮した設計開発を行うことで、一般的ビーコンに比べて3倍以上の通信距離を実現するものであります。
また、ビーコン(発信側)だけではなく、指向性を有する受信アンテナも研究開発することで、100m以上の通信距離を実現し、また、指向性を持たせることで、新たな応用展開が可能となります。
本共同研究は、極短距離の通信用といった従来のBLE通信の概念を超えて、BLE通信の革新的進歩を切り拓く極めて有望な研究であると考えます。

名古屋工業大学について

名古屋工業大学は、近代工業発展の機運高まる1905年に、「この地に産業基盤を創り上げ、その中心的役割を果たす産業人を育成すること」を目的に、官立名古屋高等工業学校として創設されました。その目的のもとに多くの優秀な技術者、研究者を育て、また多くの革新的な技術を生み出し、中京地域の産業発展に大きく貢献してきました。

フォーカスシステムズについて

 フォーカスシステムズは、1977年に設立され、電子交換機ソフトの開発からスタートしました。以降官公庁向けシステムの受託開発、システム運用・保守/インフラ技術支援業務、セキュリティ事業を行っております。ビーコンソリューションにつきましては、2015年より開発を始め、これまでエプソン販売株式会社と連携したスマートヘッドセットと連携できるビーコン製品や、またその製品を応用したARシステムを提供してきました。

本件に関するお問い合わせ

<国立大学法人名古屋工業大学>
名誉教授 岩田彰
メール:iwata[at]nitech.ac.jp
TEL:090-8734-1947
広報室
メール:pr[at]adm.nitech.ac.jp
TEL:052-735-5647

<株式会社フォーカスシステムズ>
ITイノベーション事業本部 テクニカルアドバンス事業部 ビジネスクリエーション部
メール:wireless-support[at]focus-s.com
TEL:03-5420-2470

※上記の[at]は@に置換してください。


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