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インクジェット印刷の「にじみ」等の原因を予測する新指標を提案~品質低下につながるサテライト滴の発生メカニズムを解明~

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カテゴリ:プレスリリース|2026年7月28日掲載


発表のポイント  

●    インクジェット印刷において、にじみ等の原因となるサテライト滴(*1)の発生メカニズムを解明
●    液体の「伸びやすさ」を表す伸長緩和時間(*2)が、印刷品質を左右する主要因であることを明らかに
●    印刷条件からサテライト滴の発生を予測できる新たな設計指針を提案

概要

インクジェット印刷は、書籍や商業印刷、パッケージ印刷などの紙媒体において広く用いられており、画質や文字品質の向上が求められています。しかし、印刷中に発生する微小なサテライト滴がインクのにじみや飛散を引き起こし、品質低下の要因となることが課題でした。

名古屋工業大学電気・機械工学類の玉野真司教授、武藤真和助教、および株式会社SCREENホールディングスの松田健氏らの研究チームは、本課題に対し、サテライト滴の発生メカニズムの解明に取り組みました。具体的には、インク液体が引き伸ばされて細くなる際の挙動である伸長レオロジー(*3)に着目し、液体の「伸びやすさ」を表す指標である伸長緩和時間が、サテライト滴の発生を支配していることを明らかにしました。

また、溶媒の粘度やノズル径といった装置条件によって伸長緩和時間が変化し、それに応じて液糸がどのタイミングで破断するかや、サテライト滴が発生する時刻を統一的に整理できることを示しました。

さらに、インクジェットの実動条件に近い環境で低粘度液体の伸長特性を評価可能な独自の計測手法を開発し、液滴の分裂挙動およびサテライト滴の発生を統一的に説明する解析手法を構築しました。

これにより、インク設計や印刷条件の設定段階においてサテライト滴の発生を事前に予測できる可能性が示され、印刷品質の向上および工程最適化に向けた新たな指針が提示されました。本成果は、紙への印刷から電子デバイス製造に至るまで、幅広いインクジェット応用において品質向上と材料設計の高度化に寄与することが期待されます。

本研究成果は、米国物理学協会(AIP)が刊行する学術誌 Physics of Fluids に2026年7月14日付で掲載され、Featured Article(注目論文)に選ばれました。


▶詳細(プレスリリース本文)はこちら

用語解説

(*1)サテライト滴
主液滴とは別に形成される不要な微小液滴。にじみや飛散が画質や文字品質の低下に繋がります。

(*2)伸長緩和時間
液糸の指数関数的細化(EC領域)から評価される代表時定数。液糸の細化・破断やサテライト滴形成のタイミングを特徴づけます。

(*3)伸長レオロジー
液体が引き伸ばされる流れの中で示す変形・応力応答の性質。インクジェット吐出では、せん断よりも伸長流れの影響が支配的になる場合があります。

論文情報

論文名:Effects of solvent viscosity and nozzle diameter on extensional properties of dilute polymer solutions using piezo-driven extensional rheometry
著者名:松田健、武藤真和、玉野真司
掲載雑誌名:Physics of Fluids
公表日:2026年7
月14日
DOI:10.1063/5.0335404
URL:https://doi.org/10.1063/5.0335404

研究支援

本成果は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の官民による若手研究者発掘支援事業(補助事業)の結果得られたものです。

お問い合わせ先

<研究に関すること>
名古屋工業大学 電気・機械工学類
教授 玉野 真司
TEL:052-735-5609     E-mail:tamano.shinji[at]nitech.ac.jp

<広報に関すること>
名古屋工業大学企画広報課
TEL:052-735-5647     E-mail:pr[at]adm.nitech.ac.jp

*それぞれ[at]を@に置換してください。