糖鎖の「枝分かれ」が酵素の切断位置を左右する仕組みを解明 ―β-1,3-グルカン分解酵素が糖鎖を認識・切断する仕組みを分子レベルで明らかに―
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カテゴリ:プレスリリース|2026年9月 2日掲載
ポイント
● 枝分かれの位置と長さを精密に制御したβ-1,3-グルカンオリゴ糖(*1)の蛍光プローブ(*2)を開発
● β-1,6結合による枝分かれが、酵素の切断効率と切断位置を左右する重要な要因であることを解明
● 8糖からなるより長い糖鎖プローブを用いることで、短い糖鎖基質では捉えにくかった主要な切断位置を特定し、酵素の糖鎖認識モデルを改良
概要
名古屋工業大学生命・応用化学類の宮川淳准教授、山口貴大氏(研究当時:大学院生)、山村初雄教授、京都府立大学大学院生命環境科学研究科の織田昌幸教授らの共同研究グループは、枝分かれの位置と長さを精密に制御したβ-1,3-グルカンオリゴ糖の蛍光プローブを開発しました。これを用いて、β-1,6結合による枝分かれが、菌類などに広く存在するβ-1,3-グルカンを分解する酵素の切断効率や切断位置を左右する重要な要因であることを明らかにしました。
本研究では、β-1,3-グルカンの枝分かれ構造を精密に制御したオリゴ糖を化学合成して蛍光プローブ化することで、枝の位置と長さによる酵素反応の違いを明らかにしました。さらに、8糖からなる長い糖鎖プローブを用いて主要な切断位置を特定し、酵素の糖鎖認識モデルを改良しました。
本研究は、枝分かれ構造に加え、糖鎖の長さも、酵素による糖鎖基質の認識や切断位置を正確に解析する上で重要であることを示したものです。
本手法は複雑な構造を持つ糖鎖と酵素との関係を分子レベルで理解するための技術基盤となり、さまざまな糖質関連酵素の詳細な機能解明への応用が期待されます。
本研究成果は、米国化学会(ACS)が刊行する学術誌『ACS Bio & Med Chem Au』に2026年8月19日付で掲載されました。

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用語解説
(*1)β-1,3-グルカンオリゴ糖
β-1,3-グルカンは、グルコース(ブドウ糖)が主にβ-1,3結合によって連なった多糖の一種。菌類などに広く存在し、β-1,6結合による枝分かれを持つものがある。枝分かれの状態によって、溶解性、高次構造、生物活性などが変化する。オリゴ糖とは、単糖が2~10個程度結合した糖鎖のことである。本研究では、構造を精密に制御したβ-1,3-グルカンのオリゴ糖を化学合成し、酵素反応の解析に使用した。
(*2)蛍光プローブ
特定の分子や化学反応を検出・追跡するために蛍光物質を導入した分子。本研究では、合成した糖鎖に蛍光標識を導入することで、酵素によって生成する糖鎖断片を高感度に分析した。
謝辞
本成果は、JSPS 科研費(JP20K05602)、池谷科学技術振興財団(研究代表者:宮川淳)の支援を受けて実施されました。
論文情報
タイトル:Mechanistic Insights into β-1,6-Branch Recognition and Orientation-Selective Hydrolysis by Endo-β-1,3-Glucanase Using Synthetic β-Glucan Probes
著者名:Atsushi Miyagawa,* Takahiro Yamaguchi, Masayuki Oda, Hatsuo Yamamura(*責任著者)
掲載誌:ACS Bio & Med Chem Au
掲載日:2026年8月19日
DOI:10.1021/acsbiomedchemau.6c00086
URL:https://doi.org/10.1021/acsbiomedchemau.6c00086
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お問い合わせ先
<研究に関すること>
名古屋工業大学 生命・応用化学類
准教授 宮川 淳
TEL:052-735-5239 E-mail:miyagawa.atsushi[at]nitech.ac.jp
<広報に関すること>
名古屋工業大学 企画広報課
TEL:052-735-5647 E-mail:pr[at]adm.nitech.ac.jp
*それぞれ[at]を@に置換してください。
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