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神取研究室博士前期課程1年の水野陽介氏の研究成果がBiochemistry誌の「Supplementary Cover Art」に選ばれました。

2022年11月24日掲載


神取研究室博士前期課程1年の水野陽介氏が、片山耕大助教、神取秀樹特別教授、そして共同研究者である京都大学・今井啓雄教授と協力することで、ヒトなど霊長類が青色を認識するために活用する視覚センサータンパク質 (青感受性視物質) が青色光を受容する際のタンパク質の構造変化の一端を明らかにした研究論文「Early Proton Transfer Reaction in a Primate Blue-Sensitive Visual Pigment」の内容が高く評価され、アメリカ化学会が発行する生化学分野の学術誌、Biochemistry誌のSupplementary Cover Artに選ばれました。

本研究では、私たちの色覚を担う3種類 (青・緑・赤) の視覚センサータンパク質のうち、青色センサータンパク質がどのようなメカニズムで青色光を認識するのかを明らかにするため、赤外線を活用した分光計測手法 (赤外分光法) によるタンパク質の構造変化解析に取り組みました。その結果、青色光を受容する過程で起こる青色センサータンパク質内部のアミノ酸や発色団分子レチナールとの化学的な相互作用変化 (水素結合の組換えやプロトン移動反応) を原子レベルで捉えることに成功し、青色光受容メカニズムの一端を明らかにしました。青色は私たちにとって癒しをもたらす色として人気が高いですが、実はその青色を認識するための光 (青色光) は光の三原色 (青・緑・赤) の中で最も光エネルギー (光刺激) が高いのです。つまりこの一見矛盾する事象は、今回光吸収後に青色センサータンパク質内で観測されたレチナールとの特異的な相互作用変化と関係するのかもしれません。本研究成果は、我々ヒトの色を見分ける分子機構の解明につながるだけでなく、レチナールを発色団とする光センサータンパク質 (ロドプシン) の光受容メカニズムの理解が深まることが期待されます。

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神取研究室HPkandori - Nagoya Inst of Tech Kandori Lab 名古屋工業大学 神取研究室 (nitech.ac.jp)

Biochemistry:「Early Proton Transfer Reaction in a Primate Blue-Sensitive Visual Pigment


この情報は研究支援課が提供しています。

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