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有望な合成中間体であるアレニルアミンの不斉合成法を開発 ~機械学習を利用した中心不斉と軸不斉の同時制御に成功~

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カテゴリ:プレスリリース|2026年6月29日掲載


発表のポイント

●   プロパルギルニトリルをアレン構造(*1)の前駆体として利用する新たな方法を開拓
●   有望な合成中間体であるアレニルアミンの中心不斉・軸不斉(*2)の同時制御を実現
●   密度汎関数理論(DFT)計算により、反応機構や選択性発現要因、独自触媒の機能を解明
●   ガウス過程回帰とベイズ最適化を組み合わせた機械学習の反応条件改良への適用例を提示

概要

名古屋工業大学の三宅航成氏(工学専攻 博士後期課程2年)、西願寺彩音氏(工学専攻生命・物質化学プログラム 博士前期課程2年)、木村静花氏(研究当時:工学専攻生命・応用化学系プログラム 博士前期課程)、小山田悠介氏(研究当時:工学専攻 博士後期課程)、山﨑進太郎氏(研究当時:工学専攻生命・応用化学系プログラム 博士前期課程)、生命・応用化学類の安川直樹助教、中村修一教授の研究グループは、名古屋大学大学院工学研究科 機械システム工学専攻 機械知能学の竹内一郎教授、名古屋工業大学情報工学類の稲津佑准教授、大阪大学産業科学研究所の鈴木健之准教授らの研究グループと共同で、有望な合成中間体である光学活性アレニルアミンの不斉合成法を開発しました。

本研究では、α位に置換基を持たないプロパルギルニトリルをアレン骨格の前駆体として用い、独自のパラジウム触媒によって、イミンへの不斉付加とアレン骨格の形成を同時に制御しました。これにより、従来は困難であった中心不斉とアレンに由来する軸不斉の同時制御を実現し、高い位置選択性および立体選択性で光学活性アレニルアミンを合成することに成功しました。また、触媒量、反応温度、濃度、試薬の当量など、複数の反応条件の探索に、ガウス過程回帰とベイズ最適化を組み合わせた機械学習を補助的に活用し、効率的に反応条件を最適化しました。

得られた光学活性アレニルアミンは、さまざまな生物活性物質や医薬品候補化合物に見られる有用な化学構造であるとともに、多様な化学変換が可能なアレン骨格とシアノ基を併せ持っています。実際に、含窒素複素環化合物やテトラゾール誘導体などへ変換できることを示し、合成中間体としての有用性も明らかにしました。

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図1 本研究の概要:プロパルギルニトリルのアレン構造の前駆体としての利用と機械学習を利用した条件最適化による光学活性アレニルアミンの不斉合成

本研究により、プロパルギル化合物をアレン骨格の前駆体として活用する新たな方法論が示されました。本成果を契機として、光学活性アレニルアミンの合成研究がさらに発展し、これらの化合物を利用した有機合成化学および創薬化学の進展に貢献することが期待されます。

本研究成果は、米国化学会の国際学術誌ACS Catalysisのオンライン版に、2026年6月26日付で掲載されました。


▶詳細(プレスリリース本文)はこちら

用語解説

(*1)アレン構造
3つの連続する炭素原子がそれぞれ二重結合で連結した構造。中央の炭素において、2つの二重結合は直交しており、その直交性により軸不斉が存在することがある。

(*2)中心不斉・軸不斉
中心不斉は、一般に4種類の異なる置換基が結合した炭素原子などを中心として生じる。一方、軸不斉は、分子内の特定の軸の周囲にある置換基の立体的な配置によって生じ、本研究ではアレン骨格がその軸となる。本研究では両者を同時に制御した。

謝辞

本研究は名古屋大学の竹内一郎教授、名古屋工業大学の稲津佑准教授との共同研究として実施されました。また、笹川科学研究助成[2025-3013]、JST次世代研究者挑戦的研究プログラムJPMJSP2112(研究代表者:三宅航成)の助成を受けて実施されました。さらに、分子軌道計算には自然科学研究機構分子科学研究所の計算機を利用しました。ここに記して謝意を表します。

論文情報

タイトル:Palladium-Catalyzed Diastereo- and Enantioselective Allenylation of Imines with Propargyl Nitriles via Cyano-Directed Activation Assisted by Machine-Learning-Guided Condition Screening
著者名:Kosei Miyake, Ayane Saiganji, Seika Kimura, Yusuke Oyamada, Shintaro Yamasaki, Yohei Kanzaki, Tsunayoshi Takehara, Takeyuki Suzuki, Naoki Yasukawa, Yu Inatsu, Ichiro Takeuchi, Shuichi Nakamura*(*責任著者)
掲載誌:ACS Catalysis
DOI:10.1021/acscatal.6c03779
URL:https://doi.org/10.1021/acscatal.6c03779

お問い合わせ先

<研究に関すること>
名古屋工業大学 生命・応用化学類
教授 中村 修一
TEL:052-735-5245   E-mail:snakamur[at]nitech.ac.jp

<広報に関すること>
名古屋工業大学 企画広報課
TEL:052-735-5647   E-mail:pr[at]adm.nitech.ac.jp

*それぞれ[at]を@に置換してください。