小児医療現場におけるバーチャルリアリティ(VR)技術を活用した実証実験を開始
カテゴリ:プレスリリース|2017年03月21日掲載
小児医療現場におけるバーチャルリアリティ(VR)技術を活用した実証実験を開始
~子どもへの手洗い指導や手術・治療・検査時等の恐怖軽減および説明時にVR技術を活用~
あいち小児保健医療総合センター(以下、あいち小児センター)、国立大学法人 名古屋工業大学(以下、名古屋工業大学)、学校法人金城学院 金城学院大学(以下、金城学院大学)、株式会社NTTドコモ東海支社(以下、ドコモ)は、小児医療現場におけるバーチャルリアリティ(VR)技術を活用した実証実験を行います。
今回の取り組みは、小児医療現場における課題解決の方法の一つとして、より具体的なイメージを疑似的に体験可能なVR技術を活用することにより、子どもの療養環境の更なる向上を目指すものです。
以下のVR技術を活用した3つの実証実験を、あいち小児センターにおいて実施いたします。
(1) 手洗いの重要性・方法の教育
自身の手の上に映し出されるばい菌を、VRスコープを通して確認しながら、適切な洗い方によって消していくという過程を子どもに体験させることにより、手洗いの方法やその重要性についての教育を行う。
(2) 手術・治療・検査時等の恐怖軽減を図るための気を紛らわせる手法(ディストラクション)
ギプスカットなど、視覚により必要以上に子どもが恐怖を抱くような処置や検査時に、VR技術を活用した映像で気を紛らわせることにより、子どもの恐怖や苦痛を軽減させる。
(3) 手術・治療・検査時等のこころの準備を目的とした事前説明(プレパレーション)
手術・治療・検査などの事前説明の一助として、VR技術を活用した映像を使用することにより、子どもに具体的に理解を深めてもらうことで、手術・治療・検査などに対するこころの準備ができる。
また(1)については、開発したVRシステムを使って、手洗いの方法を学ぶイベントをあいち小児センター内にて実施します。 ※取材・撮影のご案内・申込はこちらをご参照ください。
4者は、今後も協力しながら、新たな価値創出・サービス提供を通じて、医療現場における課題解決に取り組んでまいります。
1.実証実験概要
(1) 手洗いの重要性・方法の教育
子どもに、自身の手の映像に重畳表示されるデフォルメされたばい菌イラストをVRスコープを通して確認させ、また子どもが実際に適切な手洗いの動作をすることでそのばい菌が少しずつ消滅していく様子を体験させる。このVRシステムを利用することで、本来は見えないはずのばい菌を見て、それを消すという体験ができ、子どもは遊びながら自然に適切な手洗いの方法やその重要性について学ぶことができる。
<使用する技術・機能等>
・Leap Motion社が販売するLeap Motionコントローラーにより検出した手の動きに連動させてばい菌を表示するVR技術
・手の動きを検出できなかったときにもVRシステムの動作を継続させるための補完手法
・手洗い動作によりばい菌を消滅させていくための判定モデル
(2) 手術・治療・検査時等の恐怖軽減を図るための気を紛らわせる手法(ディストラクション)
手術・治療・検査時などの医療行為は、子どもに必要以上の不安や恐怖を抱かせ、心身に過度なストレスを与えてしまい、手術・処置・検査等がスムーズに実施できない場合がある。その不安や恐怖の軽減を図るため、子どもの年齢や発達状態、ニーズにあったディストラクションの一助としてVR映像で気を紛らわせることにより、子どもの心身へのストレスを軽減させつつ、手術・治療・検査等をスムーズに実施する。
<使用する技術・機能等>
・子どもが注意転換できるVRコンテンツ
・ドコモ社が提供する「デバイスWebAPI」を利用し、VRスコープを通じて視聴する映像を別のタブレットで保育士や保護者が見られるように配慮
(3) 手術・治療・検査時等のこころの準備を目的とした事前説明(プレパレーション)
手術・治療・検査等の事前説明の際に、手術室やCT室などへ事前見学ができない場合がある。そこで、360°パノラマ撮影した手術室・CT室の映像を子どもにタブレットで事前に見せることで、より具体的なイメージを持つことができ、不安や恐怖の軽減に繋がりスムーズな施術が可能となる。
また、既存のアプリケーションソフトであるドコモ提供の「dキッズ」を併用することで、手術や治療までの空き時間の不安・ストレスを総合的に解消する効果を狙う。
<使用する技術・機能等>
・事前撮影した手術室やCT室等の360°パノラマ映像
2.各プレーヤーの主な役割
各社名 | 概要 |
あいち小児センター | ・実証実験におけるVR技術を活用した手術・治療・検査等の実施 ・手洗い教育における手指衛生観点からのアドバイスおよび指導の実施 |
名古屋工業大学 | ・手洗い教育のためのVRシステムの開発 (名古屋工業大学 情報基盤センター 舟橋研究室) |
金城学院大学 | ・小児に関するタブレット利用やVR活用に関する教育的知見に関するアドバイスの実施 (金城学院大学 国際情報学部 岩崎研究室) |
ドコモ | ・各種情報通信端末および通信、アプリケーションなどの提供 ・プレパレーション、ディストラクションにおけるVRコンテンツ作成 |
※ 「Leap Motion」は、米国Leap Motion, inc.の登録商標です。
※ 「デバイスWebAPI」は、スマートフォンに組み込むことで、Webブラウザなどから簡単に様々なデバイスのデータを送受信することができるようになる技術です。
▶ デバイスwebAPI
本件に関するお問合せ
○株式会社NTTドコモ 東海支社 企画総務部 広報室 植竹 誠也
〒461-8565 名古屋市東区東桜一丁目1番10号 アーバンネット名古屋ビル
TEL:052-968-7171 ホームページ:http://www.nttdocomo.co.jp/
○国立大学法人 名古屋工業大学 情報基盤センター 舟橋 健司
〒466-8555 名古屋市昭和区御器所町
TEL:052-732-2111 ホームページ:https://www.nitech.ac.jp/
○学校法人金城学院 金城学院大学 国際情報学部 岩崎 公弥子
〒463-8521 名古屋市守山区大森2-1723
TEL:052-798-0180 ホームページ:http://www.kinjo-u.ac.jp/
○あいち小児保健医療総合センター 診療支援部 診療支援室 棚瀬 佳見
〒474-8710 愛知県大府市森岡町七丁目426番地
TEL:0562-43-0500 ホームページ:http://www.achmc.pref.aichi.jp/