発表のポイント

〇　名古屋工業大学は、経営共創基盤と、技術の社会実装を加速化する新会社（名古屋工業大学共創基盤）を設立
〇　産学連携による共同研究の拡大と技術の社会実装を強化・加速化
〇　工科系単科大学や中規模大学のイノベーション創出のモデルケース

概要

1.　名古屋工業大学は、「組織」対「組織」の本格的な産学連携を目指し、2017年10月、産学連携及び研究推進の機能、設備と人財等のリソースを集約した「産学官金連携機構」を設置しました。同機構では企業の抱える技術的諸課題の解決に導くための「ワンストップ渉外窓口」を整備・稼働させています。

2.　本学が持つ知見や技術開発力を最大限活用し、産業界の実効性ある課題解決を支援する仕組みとして、新事業の芽から育てる「パートナーラウンドテーブル」(計画段階からアウトプットまでの一貫した支援)の実施や人財育成を起点とした価値創造「コンソーシアム」の設置・運営、内閣府の「国立大学イノベーション創出環境強化事業」(2019年度採択）の事業創造プロデューサー機能の強化に関する検討などに取り組んできました。

3.　今後の社会や産業界の進展を見据えれば、これらの取り組みを一層強化するとともに、産学連携の規模の拡大、深化・高度化、そしてこれらの取り組みが、長期的にも、発展していくことが、中京地域、そして我が国の産業の発展には必要不可欠であると考えています。そのためには、共同研究の在り方自体に変革も必要であり、これまでの研究者個人に依存した共同研究から、「組織」対「組織」の共同研究、様々な技術を組み合わせた総合的な課題解決へやり方を変えていく必要があります。また、研究内容の新規性・先進性だけでなく、社会的・経済的価値（成果を社会実装した場合に生み出される企業の利益など、総合的に見た価値）を考えた研究を行い、そしてそれに見合った研究費を得て、それを将来の技術に再投資する社会実装と研究の循環を作ることが重要との結論に至り、新たなスキームを構想しました。

4.　この構想を実現するため、このたび、企業支援の知見と実績を有する株式会社経営共創基盤との連携協力の下に、本学の先端技術・研究開発力と、中京地区を中心とした企業との、連携の拡大・深化・高度化を行い、社会実装と研究の循環スキームを構築すべく、株式会社名古屋工業大学共創基盤を設立しました。新会社では、名古屋工業大学の先端技術と研究力、経営共創基盤の経営・事業の力を融合し、共同研究の拡大と技術の社会実装を強化・加速化します。

5.　具体的には、共同研究においては、従来研究者個人の研究範囲に閉じられていた提案内容を、本学の持つ様々な技術視点と企業経営・事業運営視点を加え、企業に役に立つものとして提示していきます。また、教育・研修・人材育成、スタートアップ支援など、様々な形での技術のインキュベーション・社会実装を行います。その過程を通じて、本学の持つ技術シーズ、社会の技術シーズの価値を本学にフィードバックすることで、本学の長期的な戦略・マネジメントに活かしていきます。

6.　本スキーム及び新会社は、工科系単科大学や中規模大学が、「技術×事業の価値」に着目し、企業人のマインドとスピード感を持ってイノベーション創出に取り組もうとするモデルケースとなるものと考えています。

本学は、この名古屋工業大学共創基盤と、社会実装と研究の循環スキームを発展させていく所存であり、理事が同社の顧問に就任する予定です。
また、新会社で培われた折衝等のノウハウは、組織として着実に承継・発展させるとともに、本学の産学連携を担い得る高度なコーディネータ等専門人材の育成システムの構築も視野に入れております。


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