「子ども」を対象とした熱中症リスク予測の取り組み
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カテゴリ:プレスリリース|2024年5月29日掲載
名古屋市消防局救急部救急課
名古屋工業大学
概要
名古屋市消防局と名古屋工業大学大学院工学研究科工学専攻(電気・機械工学領域)及び先端医用物理・情報工学研究センターの小寺紗千子准教授、平田晃正教授(センター長)は、2020年より、熱中症による救急搬送者の予測技術開発に関する共同研究を実施しています。
2022年9月に名古屋市内の中学校で同時多発的に熱中症を疑う救急搬送者が複数発生した事例がありました。そこで、救急隊の効果的な運用のために活用していた熱中症救急搬送者予測技術を、熱中症の発生を未然に防ぐために応用し、2023年から名古屋市立の保育所・幼稚園・小中学校・高等学校・特別支援学校等に1週間先までの熱中症リスク予測データの提供を行い、各学校等で活用いただきました。
具体的な取り組み内容としては、2023年6月から週に2回、市内の関係機関(460校超)宛てに、メール配信にて「熱中症予測リスクデータ」を配信しました(図1)。熱中症リスクが高まると予測された日(60%以上)は、6月~9月の4か月間で32日間ありました。データを提供した関係機関では、①暑さ指数(WBGT)、②「熱中症警戒アラート」、③長期的な予測ができる「熱中症リスク予測データ」の情報から総合的に判断して、体育的な活動等の実施スケジュールや内容変更の目安として活用していただきました。
図1 「子ども」を対象とした熱中症リスク予測グラフ
(2023年6月1日~9月30日)
2023年中、17歳以下の熱中症搬送者数144人のうち、小中学校等において発生した搬送者数は49人であり、割合は34.0%でした。コロナ禍を除く2015年から2019年までの割合の平均値は42.6%であり、これは概算で2割程度の低下に相当します(図2)。これらから、学校等で発生する熱中症搬送者の減少にある一定の効果があった可能性があります。また、2022年では市内の中学校で、同時多発的に19人の生徒が熱中症のような症状で救急搬送された事案が発生しましたが、2023年では保育所、幼稚園、小中高等学校などで同時多発的に熱中症搬送者が発生するような事案はありませんでした。
図2 学校等で発生した17歳以下の熱中症搬送者
「熱中症リスク予測データ」を子どもへの注意喚起や、体育的な活動等の実施可否の目安として活用していただけたことで、「子ども」の熱中症発生の抑制に寄与したと思われます。今年度は市内の県立学校にもデータ提供を拡大し、ひとつ先の安心安全を提供できるように取り組んでいく予定です。
お問い合わせ先
名古屋市消防局救急部救急課
担当:市原、宇都木、笹島
TEL:052-972-3552
名古屋工業大学大学院工学研究科工学専攻(電気・機械工学領域) 教授
先端医用物理・情報工学研究センター センター長
平田晃正
TEL:052-735-7916
E-mail:ahirata[at]nitech.ac.jp
*[at]を@に置換してください。
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